【既報関連】リオ市とオズワルド・クルス財団(Fiocruz)が協力して行ったパケター島での実験的なコロナワクチンの一斉接種で、ケイロガ保健相から接種を受けた住民が「この人からは受けたくなかった」と痛烈な批判の言葉を発したと21日付G1サイトなどが報じた。
同島では成人人口の約半数が予防接種を受けていたが、残りの半数に一斉接種を行う事で、1回目の接種だけでどの位の感染予防効果があるか、18歳以上の人が全員接種を受けた場合、18歳未満の人も感染から守る事ができるかなどを確認する事になった。
一斉接種が行われたのは20日で、協力を申し出た人達は、事前に行った血液検査で既に抗体を得ているか否かを確認した上で接種を受けた。
この一斉接種にはケイロガ保健相も同伴し、一部の住民に接種も施した。この日に最初に接種を受けた住民が、「この人からは接種を受けたくなかった」「ワクチンは本物だが、私に接種した手は本物ではない」と語った。
この住民は、「ケイロガ氏は、ワクチン接種の事を悪く言い、マスクの着用や社会的な距離の確保を擁護しないような政府の代表者」であり、「ワクチンは本物だが、私に接種した手は本物ではないと強く感じた」と批判した上で、「ケイロガ氏の行為は偽物(偽善)だ」とも語った。
ケイロガ氏はこの日、「私はこれまで、カテーテルを使って命を救ってきたが、今日はワクチンで命を救っている」と述べたが、この住民はこの言葉を聞いて、退場しようとして席を立った。
だが、ケイロガ氏が近寄ってきて腕をつかみ、「嬉しいか?」と訊ねた。この住民は、「ワクチン接種を受けられた事は嬉しいけど、あなたからは受けたくなかった。あなたから受けるより、彼女(ケイロガ氏と共に接種を行っていた女医)から受けたかった」と言い捨てて立ち去った。
この住民には19歳の息子がおり、20日に接種を受けたが、17歳の息子はまだ受けられない。この住民は「色々な調査が行われているから、あいつも近い内に受けられるだろう」と言った後、「一斉接種と血液検査、子供や若者への簡易検査は調査員を満足させた事だろうが、島の住民の喜びはそれ以上だ」とも語った。
リオ市保健局によると、同島での一斉接種に使われたのはオックスフォードワクチンで、成人住民の70%が検査や接種に参加したという。
★2021年6月11日《リオ市》パケター島でコロナの一斉接種=18歳以上の人に20日に
★2021年6月16日《ブラジル》半量のワクチンでも有効か=ヴィアナ市で実験接種始まる
★2021年6月1日《サンパウロ州》集団接種で死者が95%も激減=セラーナ市の実験で効果歴然=周囲では感染増が続く中
★2021年4月30日《サンパウロ州》ボツカツ市で実験的一斉接種=今度はOxfordワクチンで