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《ブラジル》ミランダ下議「金曜に国は真実を知る」=コバクシン疑惑をCPIで=大統領関与の証拠を証言へ=政府逆ギレ、捜査命ずる

3月面会時のミランダ氏とボルソナロ大統領(Twitter)

 【既報関連】22日付エスタード紙の報道で噴出したインド製コロナワクチン「コバクシン」に対する保健省の過払い疑惑に関し、「私はボルソナロ大統領に直接警告した」との主張を行ったルイス・ミランダ下議(DEM)に対し、ボルソナロ大統領とオニキス・ロレンゾーニ官房長官は23日、連邦警察に同下議を捜査させると発表した。ミランダ氏はこれを報復的な威嚇行為とみなし、25日の上院のコロナ禍の議会調査委員会(CPI)での証言を宣言。「連邦政府を打倒する」と息巻いている。24日付現地紙が報じている。
 保健省が今年2月にインドのバーラト・バイオテック社との間に、当時まだ最終治験段階でしかなかったコバクシン2千万回分の購入契約を、当初知らされた単価の10倍の値段で結んでいた疑惑はエスタード紙が報じられた。それだけで充分に激震が走ったが、ミランダ下議は追い打ちをかけている。
 ミランダ氏の主張によると、同氏は3月20日、兄弟で保健省勤務のルイス・リカルド氏とともに「コバクシンの購入契約に関して不審な動きがある」と申し出ていた。リカルド氏は3月31日に、検察庁でも証言している。
 ミランダ氏はすでにエスタード紙に、自身がワッツアップで大統領秘書と行った通話内容、さらに大統領と面会したときの写真なども提出している。大統領との面会はその当時、マスコミも報じていたことが明らかになっている。ミランダ氏によると、このときに大統領は「連邦警察にこの件を調べさせる」と約束したという。
 だが、その後も大統領や連邦警察からの連絡はなく、ミランダ氏が3月22、23日に大統領の秘書に連絡をとったときも、明確な返答はなかったという。

 だが、この過払い疑惑が報じられた後、ボルソナロ大統領は疑惑自体を捜査するのではなく、告発者のミランダ下議を調べるように連邦警察に要請した。そして、その旨を受けたオニキス官房長官が23日午後に記者会見を開き、ミランダ、リカルド両氏が問題にした保健省の契約資料は、この両者が偽造したでっちあげだと言い切り、この2人を連邦警察に捜査させると威嚇するように言った。
 これに対し、元来大統領派だったミランダ氏は、ネット上で失望を表明。ツイッターで「大統領、私はいつでもあなたを擁護してきた。それなのに、あなたは私を断罪する気なのか」と記し、「ならば、私はあなたを倒すだけだ」「金曜日にブラジルは真実を知ることになるだろう」と宣言した。
 金曜日とは今日25日のことで、ミランダ氏とリカルド氏の2人は上院コロナ禍CPIで証言することが決まっている。リカルド氏は保健省内のロジスティック担当でもあり、アマゾナス州マナウスの医療崩壊の件でも証言を行う予定だった。
 CPIのオマール・アジス委員長はすでに、ミランダ氏のコバクシン疑惑の暴露に関して「非常に重い」との見解を示しており、「連邦政府崩壊の可能性さえある」と語っている。
 一方、24日、連邦警察はボルソナロ大統領からはコバクシンに関する捜査要請が行われていないと発表。ミランダ氏の証言が正しければ、大統領は「疑惑を知っていながら黙認していた」ということになる。
 上院コロナ禍CPIは24日、ミランダ氏とリカルド氏の身辺警備の必要について話し合った。また、アジス委員長たちは、ミランダ氏が提示した書類に記載され、代金を受け取ることになっていたマジソン・ビオテック社は架空会社との見方を強めている。