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《ブラジル》サレス環境相が突如辞任=不正告発や連警捜査圧力に=後任にも「同類」と批判の声

サレス前環境相(Jose Cruz/Agencia Brasil)

 【既報関連】23日夕刻、リカルド・サレス環境相の辞任と、ジョアキン・アルヴァロ・ペレイラ・レイテ氏の後任指名を告げる号外の連邦官報が出たと23、24日現地紙、サイトが報じた。
 サレス氏は5月19日に行われた連警の「アクアンドゥバ作戦」の捜査対象の一人。不法伐採や違法木材の輸出疑惑への関与、環境監視機関の活動妨害、不正な金の授受などの嫌疑がかけられている。同作戦では連邦直轄区とサンパウロ州で同氏関連の企業などの家宅捜査が行われ、銀行・財政関連の情報開示命令も出た。
 同作戦の管轄はアレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事だが、法定アマゾンでの不法伐採や違法木材輸出ではカルメン・ルシア最高裁判事が担当する案件もある。また、新たな捜査開始要請が出る可能性がある。
 サレス氏辞任への直接的な圧力は米国からの違法木材輸出告発や連警による捜査開始だ。だが、同氏は就任直後から前任者達とは異なる行動が目立ち、大統領の手足となり、国際社会の流れに反する環境政策を推進していると言われてきた。
 その一例が、環境監視機関である国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)や生物の多様性保全のためのシコ・メンデス研究所(ICMBio)などの活動を制限、妨害するような動きだ。
 また、生態系を壊し、環境汚染を促すような法案承認や、法定アマゾンを保護するためのアマゾン基金への資金拠出国からの批判に耳を貸さず、国際会議では金をせびるといった面もあった。

 4月の気候変動フォーラム前、同環境相は不法伐採撲滅には金が必要と訴えたが、欧米諸国からは具体的な目標や実際の活動・結果を見せなければ資金は出せないと拒絶された。法定アマゾンでの不法伐採や森林火災、先住民の人権蹂躙は国際社会からの批判の的で、欧州連合と南米南部共同市場の自由貿易協定締結でもボトルネックとなっている。
 大統領が好むイデオロギー派の操り人形と評された閣僚の辞任や解任は、アブラアン・ウエイントラウビ前教育相、エルネスト・アラウージョ前外相、エドゥアルド・パズエロ前保健相に続くものだ。大統領は22日も、農牧業やアグリビジネスの躍進は農務・環境両省が一体となって実現したものとし、サレス氏を称賛していた。
 サレス氏は辞任の際、「ブラジルは今年から来年にかけ、国内外での重要な会議に参加する。皆の関心と要望、努力を結集させる必要があるから、可能な限り穏やかな解決を願って辞表を提出した」とし、「後任は経験豊かで環境問題も熟知しているジョアキン・アルヴァロ・ペレイラ・レイテ局長」と語った。
 レイテ氏は持続可能な発展と森林局局長だったが、昨年9月に法定アマゾンと環境サービス局と改名後は新局局長を務めていた。
 また、農牧生産者や食品加工業者らを代表するブラジル農村協会(SRB)の審議会メンバーを23年間務めていた。農牧議員代表のセルジオ・ソウザ下議は歓迎の意を表明したが、環境活動家からは既に、「大臣は変わっても大きな変化は望めない」と批判的な声が出ている。

★2021年6月24日《ブラジル》環境相捜査の連警担当者更迭=政権の人事介入の疑い再び=アマゾン違法木材輸出疑惑で=23日突然、環境相辞任発表
★2021年6月4日《ブラジル》サレス環境相に2件目の捜査開始=疑惑の特別補佐官はさっさと辞表提出
★2021年6月2日《ブラジル》サレス環境相にアマゾン違法伐採の幇助疑惑=連邦検察庁の捜査申請を最高裁許可
★2021年5月20日《ブラジル》環境相自らアマゾン木材密輸に関与?=自然保護機関のはずが=違法伐採業者に便宜も