リオ市市議会が6月30日の本会議で、ジャイロ・サントス・ソウザ・ジュニオル(通称Dr.ジャイリーニョ)市議の議席はく奪を満場一致で決めたと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
ジャイリーニョ氏は、3月8日に起きた、養子(恋人の連れ子)のエンリー・ボレル君(4)の虐待死事件で起訴されており、倫理委員会が議席はく奪が妥当との意見書を承認していた。
エンリー君は当初、事故死扱いされていたが、同君を診察した医師や法医学研究所が、脳内出血や骨折、内臓破裂などを起こして死亡しており、事故死とは思えない事や繰り返し暴行を受けていた可能性を指摘。
警察が調べたところ、ジャイリーニョ氏が肉体的、精神的な苦痛を繰り返し与えていた事や、エンリー君の母親もその事を知っていながら同君を守る義務を怠っていた事などが判明。ジャイリーニョ氏とエンリー君の母親は4月8日に逮捕された後、殺人罪や偽証罪などで正式に起訴された。
6月30日の市議会では倫理委員会のメンバーである市議達が、「ジャイリーニョ氏の行為は市議としてあるまじきもので、議席ははく奪すべきだ」と主張。
本会議にはジャイリーニョ氏の弁護士も出席しており、顧客は常に親愛の情を込めてエンリー君を取り扱ってきたとし、リオ市西部の票田でもよい仕事をしてきたと主張した。だが、歴然とした証拠や社会からの厳しい批判の声の前には空しく、与えられた時間(2時間)を使い切る事もなく、弁護を終えた。
会議にはエンリー君の父親のレニエル・ボレル氏が書き送った書面も届いており、タルシジオ・モッタ市議が朗読した。ボレル氏の書面には、「正当な裁きが行われている。市議と相応しからぬ行為との判断や議席はく奪は、卑劣な手段で幼い息子を殺した事やそれ以外の犯罪行為に対する社会からの要請への答えだ」と記されていた。
投票はビデオカンファレンスと対面の両方で行われ、満場一致で議席はく奪が決まった。
今回の審議で空席となった議席には、2019年4月12日に起き、24人の犠牲者を出したリオ市西部ジャカレバクア区でのアパート崩壊事故の被害者達からなる、ムゼマ地区住民協会の会長だったマルセロ・ジニス・アナスタシオ氏(連帯)が就任する。