各地の自治体が争うようにしてワクチン接種を進めている事もあり、新型コロナの感染者や死者の増加が減速している。
保健省によると、6月30日現在の感染者は1855万7141人で、7日間の新規感染者は1日平均5万8323人に落ちた。また、死者は51万8066人で、週間の死者の平均が1565人/日に落ちた。
1日平均の新規感染者が5万人台になったのは5月8日の5万9986人以来、死者の平均が1500人台になったのは3月9日の1573人以来だ。
7日間の新規感染者の平均は6月23日の7万7327人/日以降、死者の平均は6月19日の2075人/日以降下がり始め、6月20~26日(感染学上第25週)の感染者(50万3144人)は前週比で1・1%減、死者(1万1935人)も前週比で17・8%減っている。
第25週の感染者減少率が小さかったのは、リオ・グランデ・ド・ノルテ州の新規感染者が前週の約5倍の4万4412人、パラナ州も56・6%増の7万1385人を記録したためだ。リオ・グランデ・ド・ノルテ州は6月の新規感染者も、5月の4万5451人を超え、過去最多の7万1739人となった。
同州以外で6月の新規感染者が最多となったのは、サンパウロ州の45万5305人(それまでは5月の43万3860人)とマット・グロッソ・ド・スル州の4万4686人(それまでは5月の4万2540人)だ。6月の全国の新規感染者は201万1587人、死者は5万5275人だった。
新規感染者や新たな死者の増加が減速している事への公式見解は出ていないが、可能性が高いのはワクチン接種の普及や被接種者とその家族が自重している事だ。
6月30日現在のワクチン接種数は1億147万6804回で、接種完了者(2回接種または1回だけでよいワクチンを接種)が2710万人いる。保健省によると、同日の接種数220万回は予測以上で、現在の接種総数は世界4位だ。
また、同日は、サンパウロ州の集中治療室の占有率が74・8%に落ち、ここ3カ月間で初めて75%を下回った。サンパウロ大都市圏の集中治療室占有率は68・9%となった。
業種による社会的距離の差が死亡数に影響か
新型コロナの感染抑制の決め手は予防接種だが、1日には人との接触の多寡が感染実態を左右する事を示唆する報道もあった。
それは、1~4月に起きた正規雇用者の死による労働契約解約数は昨年同期より89%多く、対面サービスが必要な部署ほど解約数が増えたというものだ。同期間中の労働者の死による解約数は19年1万7376件、20年1万8580件、21年3万5125件だ。死因はコロナ以外を含むが、同期間中は20万8832人がコロナで死亡している。
増加が目立つのは、高速バス運転手181%、経営部門のスーパーバイザー166・4%、トラック運転手152%、経営部門幹部145・2%、市内バス運転手143・7%、警備員129・5%、経営部門補佐官115・2%、レジ係114・2%、小売店販売員113・2%、ガソリンスタンド店員105・2%、事務員98・5%、ビル管理人94・9%、ビルの門番93・7%などだ。4月には、昨年の警備や運輸、医療部門の死者は前年の1・5倍との報道もあった。
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ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事が6月30日に発表したところによると、サンパウロ州の成人の53%が、コロナワクチンの接種を少なくとも1回は受けたという。1870万人が接種を受けたことになり、2回目の接種を終えた人も18%に至っているという。サンパウロ州は依然として集中治療室への入院率が高く、注意が必要で、第2回目の接種を受けていない人もいる。だがこのところ、全国的に死者数増加のペースが落ちてきている背景には、まずワクチン接種の浸透があげられる。サンパウロ市は現在、42歳と43歳が接種中。予定通りに行くと、15日からはいよいよ30代の接種がはじまる。対象年齢が下がってくるのに伴って、新たな感染者や死者の数が減ってくれればうれしいが。