保健省の国家研究倫理委委員会(Conep)が1日、サンパウロ市のブタンタン研究所が開発中で100%国産の新型コロナワクチン「ブタンバック」の治験開始を認めたと1日付G1サイトなどが報じた。
Conepは、開発中の薬品やワクチンの治験に参加する人達を保護するため、国家衛生監督庁(Anvisa)と並行し、医学的な面からの安全性や、人権保護への配慮の有無などを確認する機関だ。
コーディネーターのジョルジェ・ヴェナシオ氏によると、Conepの審査には約50人が参加しており、ブタンバックの治験に関する審査は6月22日から行われていたという。Conepでの審査は5段階に分かれており、1日の時点で全ての段階の審査が終わり、治験開始にOKが出た事になる。
Anvisaは6月6日に、人に対する臨床試験(治験)の実施を認める判断を下しており、これを受けて始めた治験に参加する意思を表明した人の事前登録には、9万3700人が応募した。実際にワクチン接種を受けるのは、18歳以上の成人418人だという。
ブタンタン研究所は、ブタンバックは100%国産で、Anvisaが最終審査を終え次第、サンパウロ総合大学リベイロン・プレット・キャンパス(USP―RP)での治験を開始するとの声明を出している。
治験は3段階に分かれており、第1段階ではワクチンの安全性と実際に投与する量の評価が行われる。第1段階は17週間かけて行われ、偽薬も使用する。
第2段階以降は、コロナバックも含めた既存のワクチンと同様の免疫上の効果を得られるかを調べる事になっている。
ブタンバックはインフルエンザのワクチン同様、卵を使ってウイルスを培養して有効成分を抽出するため、全ての材料が国内で調達できる。また、ウイルスを培養する際、どのタンパク質を選択するかで、変異株にも対応できるという。
ブラジル国内では既に複数のワクチンが使用されているため、今回の治験では、これらのワクチンと比べてどれだけ有効かも確認する事が求められる。