【既報関連】新型コロナの予防接種が進む中、感染学上の第26週(6月27日~7月3日)の感染者や死者は前週比で29・4%と9・1%減り、明るい見通しを口にする人が増えている。
保健省の統計での4日現在の感染者は前日比で2万7783人増の1876万9808人で、7日間の新規感染者の平均は4万9887人/日となった。1日平均の感染者数が5万人を切ったのは2月24日の4万9388人/日以来だ。
また、死者は前日比で830人増の52万4417人で、週間の平均は1563人/日だった。この数は3日現在の1550人/日を若干上回るが、6月30日の1565人/日以降、1500人台を保っている。
また、感染学上の第26週の新規感染者は35万5131人で1日の平均は5万733人に、死者も1万852人で1日の平均が1550人に減少した。
2日付G1サイトなどによれば、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)は、1日の平均死者数が6月19日の2075人/日以降減少している主要因に、2度目の接種も完了した高齢者が60%(70代以上ならなお高率)を超え、60歳以上の死者が減少している事を挙げている。現在の死者は60歳未満が過半数を占めている。
また、予防接種の普及や、感染率が100万人あたり8万9317人に上昇し、抗体を持つ人が増えてきている事、社会的な距離の確保やマスク着用、外出規制などの対策が続いている事、集中治療室の占有率の低下も挙げられている。アストラゼネカ社やファイザー社のワクチンは2度目の接種までが長いが、初回接種だけでも相応の重症化予防効果がある。
現在のブラジルは、感染が広がっている状況下で感染者が平均何人にうつすかを表す実行再生産数も1以下となり、感染拡大が鈍化し始めている。
ただ、予防接種は重症化や死亡する事を高率で防ぐが、2度の接種を受けた後も感染する可能性があり、感染すれば周囲の人にうつし得るから、油断大敵だ。この事は、予防接種率が高く、閉鎖空間でのマスク着用義務を解いたイスラエルが、インド株(デルタ株)流入で感染者が増え始めた事などで着用を義務化した事でも明らかだ。
6月末時点のブラジル国内のデルタ株感染者は11人(2人が死亡)で、4月18日にパラナ州で死亡した妊婦が同株による国内初の死者だった事が6月26日に公表された。5月に同株感染が確認された同州在住の71歳の女性はこの妊婦を訪問した人の親戚だった事も判明しており、同州では女性の親族も含めた市内感染が起きていた可能性がある。ただし、同州でのデルタ株の感染状況の解明は不十分で、4月25日~5月1日(感染学上第17週)以降続いた、感染者や死者の増加との関係は不明だ。
国内外の研究によると、感染力が強いデルタ株やガンマ株(マナウス株)感染者では、従来株感染者に多かったセキや発熱、味覚や嗅覚の喪失という症状が減り、頭痛や鼻水といった強めの風邪のような初期症状を訴える人が多いという。