3日、全国300市以上で、5月以降3度目となるボルソナロ大統領に抗議するデモが行われた。参加人数や規模で盛り上がりを見せたが、サンパウロ市では暴力行為が起こるなど、問題も生じた。3、4日付現地紙、サイトが報じた。
大統領に対する抗議デモは5月29日、6月19日にも行われており、今回は3回目。本来ならもう少し間隔をおいて行われる予定だったが、2回目のデモのすぐ後にインド製のコロナワクチン「コバクシン」購入に関する疑惑が浮上したことにより、急きょ早められた。
今回のデモは全国の州都など、少なくとも314市で行われ、国外でもパリ、ベルリン、ウィーン、チューリッヒ、ジュネーブ、ブリュッセルといった欧州主要都市でも開催された。
デモの主体となっていたのは今回も労働者党(PT)や民主労働党(PDT)、ブラジル社会党(PSB)、社会主義自由党(PSOL)や中央労組(CUT)などの労組だった。ただし、今回のデモには保守派からも参加があり、サンパウロ市のパウリスタ大通りで行われたデモに民主社会党(PSDB)関係者300人ほどが参加して話題になった。
今回は、これまで比較的穏便に行われていたデモに比べると暴力的な部分も目立った。サンパウロ市のデモでは、バス停のガラス張り部分の破壊、コンソラソン地区で銀行支店に放火、マッケンジー大学構内での破壊行為などが見られた。
こうした行為に対し、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事は遺憾の意を表明。デモの標的とされたボルソナロ大統領も、「デモの目的は国民の健康のためでも、民主主義のためでもない」と批判した。
メディアは今回のデモも大きく報じたが、アルトゥール・リラ下院議長は罷免審議を進める意向がないことを明らかにしている。
反ボルソナロ・デモはこの後、右派に広がる可能性を見せている。大型政治団体のブラジル自由運動(MBL)のキム・カタギリ下議(民主党・DEM)は8日に、同団体が主催するデモの開催概要を発表する意向を明らかにしている。