スペイン北西部のラコルニャ市で3日(現地時間)、ブラジル国籍で同性愛者のサムエル・ルイス・ムニス氏(24)が殺害される事件が起き、5日に抗議行動が起きた。現地警察は6日までに容疑者3人を逮捕したと5、6日付G1サイトなどが報じた。
サムエル氏は1歳の時、スペインに渡り、現地で成長したブラジル国籍者で、医療現場で働いていた。
事件当日、サムエル氏と共にいたという女性の友人によると、サムエル氏はナイトクラブにいたが、タバコを吸い、知り合いに電話をかけるために外に出たところ、女性連れの青年に「俺達を録画していただろう」とからまれ、「ビデオ通話をしているだけだ」と弁明したが殴られた。
サムエル氏を殴った青年は一旦その場を立ち去ったが、その後、10人以上の仲間を連れて戻ってくると、一斉にサムエル氏に襲い掛かり、意識を失って倒れるまで殴り続けた後、現場から逃げたという。
事件に気づいた人達が救急車を呼んだが、救急隊が到着した時にはサムエル氏は事切れており、蘇生術を施しても救助する事ができなかった。
この事件はスペイン全土に知れ渡り、5日にはマドリッド市などで「サムエルのために正義を」「同性愛嫌悪とファシズムは同じだ」などとかかれた横断幕を掲げ、「単なる暴行ではない殺人だ」と叫びながらの抗議行動が行われた。
マドリッド市での抗議行動は数千人規模に膨れ上がり、マイクを持った同性愛者や両性愛者、性転換者らが「同性愛嫌悪をなくせ!」「LGTBQIA+」「誇りを持て!」と高らかに呼びかける姿も見られた。
スペイン警察は6日朝までに20~25歳の男性2人と女性1人を逮捕した。地元当局はまだ、この3人がどの様な形でどの程度、事件に関係していたかを明らかにしていない。警察では3人の他にも事件に関与した人物がいるはずとして捜査を継続しており、逮捕者は増える見込みだ。