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《ブラジル》企業家が所得税改革案に反対表明=利益や配当への課税に難色=スーパー富豪は6割非課税?

国税庁(Marcelo Camargo/Agência Brasil)

 連邦政府が6月に提出した所得税改革案に対し、議会が休会となる15日以前に審議する意向を下院議長が表明した事で、改革案の内容や審議を急ぐ姿勢などに反対の意を唱える文書を企業家諸団体が下院議長に提出したと7、8日付現地紙、サイトが報じた。
 所得税改革案はボルソナロ大統領が約束していた課税基準見直しなどを盛り込んだもので、高所得の人や大企業にはより重く、低所得の人や中小・零細企業にはより軽くなるという。
 だが、120超の団体が下院議長に提出した文書では、改革案には企業の利益や株主への配当への課税などが含まれ、負の影響の方が大きいとし、時間をかけた審議を求めている。
 同文書では、特別委員会を設け、徴税増による影響を軽減し、雇用増につながるようなプロジェクトの作成や、雇用や公共サービスなどに関する行政改革を先に審議する事も要請。中には、もっと厳しい口調で改革案批判を行う団体も出ている。
 文書提出団体には、ブラジル食品工業会(Abin)、ブラジル株式公開企業協会(Abrasca)、ブラジル電気電子工業会(Abinee)などの工業関係の団体から、ブラジル・ラジオ・テレビ協会(Abratel)、全国新聞協会(ANJ)などのサービス関係の団体までが広範囲に含まれている。
 改革案の中でも反発が大きいのは、企業の利益や株主への配当への課税問題だ。ゲデス経済相は7日、先進国では配当金に20~40%の税金をかけているとして、25年続いた免税措置排除の必要を説いた。

 4日付エスタード紙などによると、企業の利益や配当への課税による増収試算額は540億レアルで、半分は年間平均所得1500万レアル、平均資産額が6700万レアルのスーパー富豪約2万人から徴税される。これらの人々は360万人の納税者のトップに位置し、企業の利益や配当で4800億レアルの収入を得ているという。
 利益と配当への課税率は20%で、年収24万レアル以下の零細・小企業は対象外となる。所得税改革案への反発が強い事をみた経済相はその前も、法人所得課税率を2年間で25%から20%に下げる案について、22年に一括で下げる可能性を示唆したが、企業家はまだ納得していない。
 所得税改革案への反発は提出当初から根強く、7日付エスタード紙などは、企業に課す所得税率軽減のため、経済省が400億レアルに上る補助金や免税措置の削除を検討中と報じている。それによると、補助金を200億レアル減らすと法人所得税率は17・5%に下げられるという。経済相は400億レアルの補助金カットも思案中で、この場合は税率を15%に下げられる。経済相は8日に昼食会を開き、補助カットについて大手企業家らと話し合った。
 ブラジルの所得や税の不均衡は広く知られ、前述のスーパー富豪2万人は2300億レアルが非課税扱いだった。6日付エスタード紙などによると、納税者の99%は平均で25%の所得が非課税扱いだが、約3千人の超スーパー富豪の非課税率は60%で、95%が非課税の人もいたという。