新型コロナのワクチン接種が進む中、新規感染者と新たな死者の増加が3週連続で減少した上、集中治療室(UTI)の高齢者の割合もコロナ禍で初めて3分の1に減ったと9日付現地サイトなどが報じた。
11日現在の感染者は前日比2万937人増の1908万9940人、直近7日間の平均は4万5733人/日だ。7日間平均は、8日の4万8637人/日以降、4日間連続の4万人台かつ低下中だ。新規感染者4万人台は1月8日の4万4733人/日以来だ。
死者は前日比595人増の53万3488人で、7日間平均は1296人/日だった。死者の平均は9日の1391人/日、10日の1329人/日を経て、1200人台に戻った。死者平均が1200人台だったのは、3月2日の1262人/日以来だ。
11日現在の回復者は1758万8312人で92・1%に達した。一方、治療中の感染者96万8140人は3月7日以来初の100万人割れで、その割合も5・1%に低下した。
新規感染者の減少は新たな入院患者や重症者の減少につながり、医療崩壊を防ぐ上、死者の減少も招く。新規感染者と死者の減少は感染学上の第25週(6月20~26日)から3週続き、前週比での減少率は感染者が1・1%、29・4%、7・9%、死者は17・8%、9・1%、14・2%となっている。
新規感染者や死者の減少には様々な要因が考えられるが、最も大きな要因はワクチン接種の普及だ。10日現在の接種率は、2度または1回完結型の接種終了が14・36%、初回のみが39・44%となっている。現在は、60代への2度目の接種と30~40代への初回接種が進行中だ。
接種の効果は入院患者に占める高齢者の推移でも明らかで、UTIの60歳以上の人は、1月21日64・4%、4月21日51・2%、6月21日30・9%と激減した。60歳以上が5月以降、半数割れの状態を維持しているのに対し、30~59歳の患者は1月32・4%、4月45・1%、6月63・9%と急増している。
予防接種は接種後2週間程度経たないと抗体ができないし、初回接種だけでは抗体の量が不十分で感染、重症化する可能性もある。だが十分な量の抗体を得れば、重症化したり死亡したりする可能性だけでなく、本人が感染する可能性や他者にうつす可能性も減る。地域全体の実施率が高まると未接種者が感染する可能性が減る事は全ての予防接種で確認済みだ。
その意味で、対面授業再開を考える人達の間では、教職者だけでなく、生徒にもある程度の接種を施す事を求める声が高まっている。
サンパウロ州政府は、デルタ株(インド株)の感染抑制と9月からの対面授業全面再開への準備を兼ね、18歳以上への初回接種を8月20日までに終わらせ、8月23日からは12~17歳への接種を行う意向も表明。国外での治験で子供にも安全との結果が出たコロナバックを保健省とは別枠で購入し、前倒し接種の準備を進めている。
★2021年7月7日《サンパウロ市》ついにデルタ株の市中感染?=リオ州でも感染者確認=致死率高く、再感染が容易
★2021年7月6日《ブラジル》コロナ感染者や死者の減少続く=接種効果明白だが油断大敵=風邪に近い症状のデルタ株
★2021年6月30日《ブラジル》国内のデルタ株死者2人目=感染状況さらに悪化の可能性も