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《ブラジル》最高裁の新判事候補 メンドンサ氏に早くも拒絶の声=上議の半数近くがすでに反対

法相時代のメンドンサ氏(左)(Isaac Amorim/MJSP)

 ボルソナロ大統領は12日、最高裁の新判事候補として、かねてから有力視されていた国家総弁護庁(AGU)長官のアンドレ・メンドンサ氏を正式に指名した。だが、承認を行う上院ではすでに、過半数近くの上議が反対の意向を示しており、承認が不安視されている。13日付現地紙が報じている。
 マルコ・アウレーリオ・メロ判事の定年退職に伴う最高裁新判事にメンドンサ氏を指名することは、ボルソナロ大統領が12日にルイス・フクス最高裁長官と面会した際に伝えられた。
 この日の会合の話題は新判事の件だけではなく、フクス長官には、大統領が立て続けに行っていた最高裁批判をたしなめる目的もあった。大統領はこのところ、自身が求める選挙の新投票方式をめぐって、強硬に反対している選挙高裁長官でもあるルイス・ロベルト・バローゾ判事や、自身が捜査対象のひとりにもなっているフェクニュース捜査担当のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事への批判を相次いで行っていた。
 フクス長官はこの会合で、ボルソナロ大統領に対し、憲法の範囲内での行動と三権分立の尊重を呼びかけていた。

 メンドンサ氏の指名は13日付の連邦政府官報で正式発表されたが、承認のための口頭試問(サバチーナ)や承認投票を行う上院では、メンドンサ氏に拒絶反応を示している上議が多いという。
 一部の報道によると、現時点で33人から36人の上議がメンドンサ氏の指名に難色を示しているという。上院では過半数にあたる41人以上の賛成が得られないと承認されない。
 メンドンサ氏は、ボルソナロ氏が支持者の大半を占める福音派の国民に対して約束した福音派判事候補だが、上議の多くは、メンドンサ氏が20年5月から21年3月に法相を務めた際、政治そっちのけで法務省内の人事を福音派で固めようとしたことを批判的に見ている。
 サバチーナを行う憲政委員会(CCJ)委員長のダヴィ・アルコルンブレ上議らも、政治家とも懇意で、もっと政局調整ができる人物を望んでいるようだ。
 こうした背景から、メンドンサ氏が承認されない場合はアウグスト・アラス連邦検察庁長官が指名されるのではないかとの憶測が、現実味を帯び始めている。