「コロナ禍で大変ですが、こういう時こそ前向きに沖縄の結束力で乗り越えましょう!」――沖縄系移民が多く住むサンパウロ市ビラカロン区の「カラオケ・ジーニョス(DINHOS)」で「ヒージャー汁の日」が6月27日に開催され、主催者で同店長のアカミネ・エジソンさん(一世(日本で帰化)・51歳)と、別の店舗「カラオケ家族」のヨギ・ネウソン店長(三世・43歳)は、今回のイベントへの熱い思いをそう語った。
カラオケ2店が協力して開催した「ヒージャー汁の日」。沖縄の代表的郷土料理「ヤギ汁(ヒージャー汁)」や「沖縄そば」「テビチ」「サーターアンダギー」など300食程を販売し、地元の沖縄県系人が詰めかけた。
コロナ禍の影響でカラオケ店も経営が困難な状況の中、アカミネさんは「店の経営も大変ですが、何より人と会う機会が以前より減ってしまった。早く自粛が終わって以前のように賑やかにしたい気持ちでいっぱいです」と語る。今回の開催理由について「ヨギさんとお互い協力しあって店の経費を少しでも稼ぐ為という理由もありますが、どうせ行事を行うなら沖縄系移民の街ビラカロンの日系人が慣れ親しんだ食べ物で満足してほしいと考え『ヒージャー汁』を提供しようと考えました」と笑顔で語る。
今回販売された「ヒージャー汁」に使われたヤギは、サンパウロ州のイタクアケセトゥバ(Itaquaquecetuba)にある牧場で購入した。販売されたヤギ汁の中には、ヤギの血を固めてキューブ状に切って調理した具も入っており本場顔負けの本格的な一品だ。
ヨギさんは、「ヤギ汁を作る時はこの牧場で買う。コツはヤギの毛を火で全て焼くこと。そこの牧場では日系人が買う時はそれに合わせてヤギの毛を炙って提供してくれるから、より本格的な味になる。この購入ルートが現在もあるのは移民した先祖のおかげですね」とうなずく。
続けて「ヤギ汁は仕込みも含めると6時間ぐらいかかる。沖縄と同じく当地の私達にも祝い事の時には欠かせない料理。高タンパクで美味しく、滋養強壮にも効く懐かしい慣れ親しんだ味。私が子供の頃は父がさばいた新鮮な『ヤギの刺し身』なんかも食べていました」と懐古する。
最後に「今年もまだ沖縄祭り開催は難しいだろうし、まだしばらく大規模イベントはできないと思う。ただ、こういった時こそ沖縄系の団結は強い。まだまだ長い道のりですが、負けずに頑張りましょう!」と勇気づけるように呼びかけた。