【既報関連】連邦政府が突如、法定アマゾンなどで起きている森林火災に関する情報公開の担当を、国立宇宙研究所(Inpe)から国立気象観測所(Inmet)に移したと13、14日付現地紙、サイトが報じた。
Inpeは科学技術庁の傘下で1971年創立、Inmetは農務省所轄で1909年に創立した。どちらも常時、衛星写真などの解析を行っているが、Inpeは数十年間も森林伐採や森林火災に関する情報をリアルタイムで解析し、その結果を毎日公表してきた。Inpeが解析した情報は環境監視機関にも伝えられ、不法伐採や火災の抑制に用いられてきていた。
Inpeの技術や解析力は国際的にも認められているが、ボルソナロ政権は法定アマゾンなどの開発を擁護しており、発足直後から、Inpeが大統領に報告せずにデータを公表し、国のイメージを悪化させているとか、Inpeのデータは改ざんされているなどと苦言を呈してきた。
ボルソナロ大統領は政権初年に、現政権の方針に沿わず、改ざんデータを公開したとして、所長解任などの方策もとったが、Inpeによるデータは、その後も森林伐採や森林火災が増え続けている事を伝えている。
森林火災に関するデータ公表をInmetに限定する事は、12日に開かれた農務省の会合で発表された。
Inmetのミゲル・イヴァン・ラセルダ・デ・オリヴェイラ所長によると、Inmetによる監視活動は5月3日に創設された全国気象システムの一部の火災危機監視パネルを通して行われる。また、Inpeや国防省傘下のアマゾン保護システムの管理および運用センター(Censipem)による火災関連の情報公開は停止されるという。
同所長によると、森林火災や焼畑は7~9月に中央部中心に起こり、環境やアグリビジネス、経済にもインパクトを与えるため、農務省が火災発生の可能性を監視し、効果的かつ経済的な措置をとるという。また、「農務省が森林火災や焼畑の監視活動や情報公開の責任を負えば、社会、経済的な需要に即し、より競争力のある対策が可能となる」とも語った。
Inmetは近日中に今年の森林火災を抑制するための計画書を官房長官に送付する意向だが、情報公開は週単位となる見込みだ。
現政権下での法定アマゾンなどでの森林伐採や森林火災の増加は、国際的な批判の的だ。同件は南米南部共同市場(メルコスル)と欧州連合(EU)の間の自由貿易協定締結上の障害で、アマゾン保護のための基金への拠金も止まっている。
2019年にInpe所長を解任されたリカルド・ガルヴァン氏は、今回の措置は連邦政府が公開データをコントロールするためと批判。アマゾン環境調査研究所(Ipam)は、「Inpeの情報公開は毎日」との理由で現体制維持を支持。観測機関Terra調査員のジルベルト・カマラ氏も、「Inpeの公開データはInmetからの情報も盛り込んだ最良のもの」との表現で、Inpeによる情報公開を擁護している。
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