ブラジル治安フォーラムが15日、新型コロナのパンデミックで揺れた昨年は銃所持者の急増やコロナ禍によるストレス、警察との抗争増などを反映し、死者が出る暴力行為が前年比で約5%増えたと15、16日付現地紙、サイトが報じた。
暴力行為による死者は2年連続で減少していたが、コロナ禍でロックダウンなどの外出規制が敷かれたりしたにも関わらず、殺人、強盗殺人、警官との抗争などが5万33件起きた。この数は19年の4万7742件より4・8%多く、死者が出る暴力行為が10分に1件起きた事になる。
発生率は前年の22・7件/100万人を上回る23・6件/100万人で、セアラー州では前年比で75・1%高い、100万人あたり45・2件を記録した。100万人あたりの発生件数は以下、バイア州44・9件、セルジッペ州42・6件と続く。100万人あたりの発生件数が最少なのはサンパウロ州の9件で、以下、サンタカタリーナ州11・2件、ミナス・ジェライス州12・6件と続く。
暴力行為による死者が最も多いのは殺人事件で、前年比で6%増の4万2105人が殺害された。次いで多いのは警官による死者で、前年比で1%増の6416人に達した。警官による死者は13年から増え続け、昨年は統計開始以来の15年間で最多だった。警官による死者の59%は50の市に集中している。
抗争などに巻き込まれて死亡した治安関係者も172人が194人に増えたが、新型コロナによる死者の472人より少ない。強盗殺人の犠牲者は1428人、負傷後の死者も672人いた。
専門家は、パンデミックで外に出る人や機会は減ったのに、警官による死者や死亡した治安関係者が増えたのは犯罪組織と警官との間の抗争が増えた証拠と見ている。
パンデミック下では女性殺人も増えた。殺人事件で死んだ女性は3966人が3913人に減ったが、失恋や嫉妬などが原因で殺された女性は1330人が1350人に増えた。また、家庭内暴力や強姦は減ったが、コロナ禍で家にいる時間が増えた事などで、保護を求める女性が増えた。
同性愛者や両性愛者、性転換者など(LGBTQIA+)への暴力行為も増え、死者は25%、強姦された人は21%、負傷者も21%増えた。
また、暴力行為で死んだ子供や青少年(0~19歳)も、5912人が6122人に増えた。この中には11歳以下が267人含まれている。
現政権がコレクターやスポーツ射撃選手らへの規制を緩和した事で、市民が所有する銃は前年比で30%増の56万1331丁に急増。治安関係者や販売者が所有する銃も込みの総数は21%増の127万9491丁、銃所有が認められた市民は43%増の28万6千人となった。専門家はこれらの数字も死者が増えた原因と見ている。
治安関係の公的支出は980・8億レアルが963・4億レアルに減ったが、暴力行為で刑務所に収監されている人の数は75万3千人に増え、過密状態が増長。昨年中は刑務所職員や収監者の間でも、新型コロナの感染者が7万9千人、死者も425人出た。