ホーム | 日系社会ニュース | 与那嶺一家=ニコリ選手、予選敗退に決意=「悔しさバネに次の大会目指す」

与那嶺一家=ニコリ選手、予選敗退に決意=「悔しさバネに次の大会目指す」

ニコリさん(コロナ禍前の撮影)

ニコリさん(コロナ禍前の撮影)

 【既報関連】6月18日付け移民の日特集号掲載「東京五輪予選=与那嶺ニコリ選手惜しくも代表落選=剛柔流・与那嶺育孝範士の孫」で掲載した与那嶺・モタ・ヘレナ・ニコリ選手(25歳・三世・糸東流初段)。本人や両親、与那嶺範士に「東京五輪」の出場権を逃した大会後の胸中を3日に取材した。

 6月11日から13日にかけてパリで行われた「東京オリンピック・パラリンピック」空手競技代表選手選考試合に、ニコリさんがブラジル代表として「女子型の部」に出場。この予選大会は世界各国から44人が出場、うち上位3人のみが東京五輪へのチケットを取得できるという狭き門だった。
 ニコリさんは「東京五輪へのチケットを逃してとても悔しい。この悔しさをバネに前を向いて、次の大会に向けて頑張りたい。今回見守ってくれた家族や友人、仲間に感謝しています」と胸中を語った。
 ニコリさんの祖父、武道で最高位の範士十段を持ち、「沖縄空手道剛柔流武術協会琉武会総本部」会長を務める与那嶺育孝さん(やすのり・80歳・那覇)は、「予選突破は狭き門。今回は残念だったが、この結果から、もっと頑張らないといけない部分や足りない部分に気づいたはず。この経験を通して稽古や大学の勉強、将来に役立ててほしい」と心のこもった言葉を送った。
 ニコリさんの母で与那嶺範士の長女、与那嶺シモーネ・ハツミ(52歳・三世)(Simone Hatsumi Yonamine)さんは、1987年に沖縄で開催された「第42回国民体育大会」の空手の試合にブラジル代表として出場。その他世界大会でも数々入賞した実績をもつ。剛柔流7段、糸東流6段。
 父パウロ・ミゲル・モタ・ジュニオールさん(58歳・ブラジル人)(Paulo Miguel Mota Junior)は、沖縄伝統派空手4大流派のひとつ「糸東流」の林派ブラジル支部をサンパウロ州ジャボチカバル市に(Jaboticabal)開いた人物で同派ブラジル支部長、7段。
 両者ともに同道場で日々生徒へ空手指導を行い、今回の五輪大会に向けたニコリ選手への強化指導を行ってきた。
 シモーネさんは「今回は残念だったけれど、彼女が本番で見せた型はとても上手く披露できた。大会に向けて連日厳しく指導したので大変だったと思うけれど、その経験をこれからの人生に大いに活かしてほしいと夫婦共々思っています」と願っていた。(淀貴彦記者)