アルトゥール・リラ下院議長(進歩党・PP)が、議員内閣制と大統領制を両立させる「半大統領制(semipresidencialismo)」の憲法改正案(PEC)の審議を希望している。これは同議長が開始をしぶっている大統領罷免審議に対する代替案との見方が強い。19日付現地サイトなどが報じている。
半大統領制とは、議員内閣制を採りながらも、選挙で選ばれた国家元首としての大統領が憲法上の絶対権限を持つ方式で、主にフランスなどで採用されている。イタリアのように行政の権限を議員内閣制の長である首相が持っている国もある。この体制だと、議会の権限は大統領制よりも強くなる。
サムエル・モレイラ下議(民主社会党・PSDB)はこのPECに関し、「ひどい連邦政府ばかりで疲れないか? 半大統領制なら、(行政の責任を負う)首相が48時間もあれば変えられる」と主張している。
この背景には、2016年のジウマ大統領の罷免、それを受けて副大統領から昇格したテメル大統領の低支持率。そして現在、史上最多の126通の罷免請求が提出され、罷免を求めるデモも続いているボルソナロ大統領の存在がある。
こうした状況にもかかわらず、リラ下院議長は罷免請求の審議開始を拒否し続けているが、同議長は先週、モレイラ下議の法案を例に出しながら、「私だけが罷免に反対しているわけではない。私だけにその責任を押し付けるのは間違っている。私たちは民主的な過程を大事にしている。2022年の選挙も当然行うし、26年を目標とした半大統領制の審議や投票も行う」と語っている。
この半大統領制に関しては、最高裁内にも支持する判事がいる。ルイス・ロベルト・バローゾ判事は2006年からこの制度を支持しており、ジウマール・メンデス判事も2020年に支持を表明している。
だが、リカルド・レヴァンドウスキー判事のように、「新種のクーデターだ」と言って反対する意見もある。同判事は1961年に左派大統領のジョアン・グラール氏が大統領についた際、その権限を弱めるべく半大統領制を行ったことが、1964年の軍事政権誕生につながったことを指摘している。
また、複数の議員がグローボ紙に、「議会での同意は得られないだろう」と語ったことも報じられている。