サンパウロ州内陸部モンテ・モル市のエディヴァルド・アントニオ・ブリスキ市長が、路上生活者(ホームレス)を無理やり車に押し込め、別の市に置き去りにするという方法で追い出していた事が明らかになったと16日付G1サイトや19日付カトラッカ・リヴレが報じた。
市長による路上生活者追放は、70キロも離れたボイトゥーヴァ市に置き去りにされた路上生活者10人が15日にボイトゥーヴァ市の警察署に行き、事情を話した事で明らかになった。
事情を聞いたエメルソン・マルチンス市警警部によると、路上生活者達は13日にレストランの前で市警備隊員達に捕まった後、通報で駆けつけた市長の命令で、所持品をとりに行く事もできないまま、無理やりバンに押し込まれたという。
路上生活者達は行き先さえ知らされないままモンテ・モル市を後にしたが、車中でもマスタードガスのスプレーで脅されたりしながら移動した後、ムニシパル・バチスタ・ファヴォレッチという幹線道路に置き去りにされたという。彼ら10人は同市の社会福祉サービスに託された。
他方、ブリスキ市長は14日(別の記事では15日)にライブを行い、「(路上生活者について)市民からの苦情が出ていたが、私は対策に乗り出した。昨日は6回送り出した。行き先はリオ・ダス・ペドラス、バウルー、カンピーナス、サンパウロ、オルキーデアスだ。善良な市民よ、私を助け、この働きを支援して欲しい。私はもう、市民からの苦情に耐えられないし、この市がごみ溜め化するのを見過ごしてはいられない」と述べた。翌日には、「イタラレーとサンラファエルにも移送させる可能性がある」とも語った。
同市長はまた、路上生活者を支援する市民に対する批判も行った。「彼ら(路上生活者達)が住めるよう、別の場所に連れて行った。給料の良い家内労働者になった人もいたが、その後、この町に戻ってきた。なぜだと思う。ここにいれば、食事を恵んでくれる人達がいて、働かなくても食べていけるからだ」と語ったのだ。
同市長はボイトゥーヴァ市に置き去りにした人達の事には言及しなかったが、「バスのターミナル付近にいる路上生活者は年のはじめから、経済開発社会局の職員らがフォローしている」とも語っている。
同市市役所では、路上生活者は社会福祉照合センターがケアしていたとし、その内の一人は雇用支援を受けており、その他の人達も生活支援を受けていると説明。他市への移送についても、各々の出身地に戻る可能性を示した上で移送したとしており、本人達から同意を得てからしか移送していないと強調した。
ボイトゥーヴァ市役所はこれを受け、置き去りにされた路上生活者達は、社会開発・市民統合局が社会事業サービス(SOS)の協力を得て保護しており、本人達が地元に戻りたい場合は旅費を提供して帰らせると語っている。ボイトゥーヴァ市の市警は同件を、不当な軋轢行為として検察局に告発した。
★2021年7月1日《サンパウロ市》路上生活者7人が凍死?=過去5年間で一番の寒さで
★2020年10月30日《ブラジル》盗み働いた路上生活者殺害=車に縛り付け、市中引き摺り回す
★2020年2月1日《サンパウロ市》路上生活者が4年間で52%増加=1万6千人が2万4千人超に