ボルソナロ大統領は20日、次期検察庁長官に現職のアウグスト・アラス氏を指名した。今回の指名も、検察庁の内部選挙で選ばれた3人のリスト(トリプリセ)の中から選ぶという検察庁のしきたりを無視したものとなった。20、21日付現地紙、サイトが報じている。
ボルソナロ大統領がアラス氏を再び指名したことは、ネット上で明らかにされた。大統領はツイッターで「検察庁を率いる人物として、改めて、アラス氏を推薦するとのメッセージを上院に送った」と公表した。
大統領は「(アラス氏は)ブラジル憲法を遵守し、信頼に足る人物」としているが、この選出は検察庁にとっては、2期連続での歓迎されない行為でもあった。検察庁のしきたりでは、トリプリセで選出された上位3人の候補の中から大統領が指名するやり方がそれまで一般的だったが、2019年の際もボルソナロ氏は3人の候補以外からアラス氏を選出していた。
アラス氏は6月に行われた内部選挙には参加しておらず、トリプリセ1位は女性で初めて最多得票(647票)となったルイーザ・フリシェイゼン氏で、マリオ・ボンサリア氏が636票、ニコラオ・ジノ氏が587票でそれに続いていた。
この3人の中で比較的ボルソナロ氏に近かったのが、トリプリセで二番目だったボンサリア氏だったが、同氏も内部選挙の際、コロナ禍での現政権のあり方に疑問を呈していた。副長官のフリシェイゼン氏は、コロナワクチンの不足などでボルソナロ氏の責任を問う件に関して、「責任法違反の可能性はある」と語っており、ジノ氏は大統領と敵対するマラニョン州知事のフラヴィオ・ジノ氏の実兄だ。
アラス氏は2019年同様に、憲政委員会(CCJ)での口頭試問(サバチーナ)を経た後、上院の全体投票で過半数を得れば再選となる。前回は68対10で承認されている。
アラス氏は、ボルソナロ氏が次期最高裁判事として指名したアンドレ・メンドンサ氏に不服なセントロン勢力が同氏の代りに希望していた名前でもある。大統領がアラス氏を検察庁長官に指名したことにより、現在もまだ、上院で41票が必要なところが26票の支持しか集まっていないメンドンサ氏にどう影響するかにも注目が集まっている。