ホーム | 日系社会ニュース | ブラジル女子卓球代表のオヤマ代表監督=浜松から五輪直前の生の声聞く《中》=「準備万端、あとは試合待つのみ」

ブラジル女子卓球代表のオヤマ代表監督=浜松から五輪直前の生の声聞く《中》=「準備万端、あとは試合待つのみ」

左からオヤマ・ウーゴ、カロル・クマハラ、ジェシカ・ヤマダ、ジュリア・タカハシ、ブルーナ・タカハシ(敬称略/写真提供:オヤマ・ウーゴ)

左からオヤマ・ウーゴ、カロル・クマハラ、ジェシカ・ヤマダ、ジュリア・タカハシ、ブルーナ・タカハシ(敬称略/写真提供:オヤマ・ウーゴ)

日系人が多数を占めるブラジル卓球代表

 「オリンピックのリオ大会は私のホーム、そして今回の東京大会は第2のホームです。東京オリンピックに参加できることはとても幸せです」。オヤマ監督は試合前の緊張感を漂わせながら、ところどこで思わず笑みもこぼれる。
 オヤマさんたちが日本に到着した7月13日からオリンピック開催中の本州は、日中の気温が30度前後、日本特有の湿気の中での最終調整になる。
 「日本の施設は冷暖房も完備され、快適な環境で練習が続けられています。新型コロナウイルス対策も万全です」と試合本番に向けて順調にコンディションを整えていることを強調した。
 東京オリンピックのブラジル卓球代表選手は、男女各3人と補欠2人の合計8人。この内7人が日系人選手で、女性はブルーナ・タカハシ、ジェシカ・ヤマダ、カロリーネ・クマハラ、ジュリア・タカハシ。男性はグスターボ・ツボイ、ヴィトル・イシ、エリック・ジョウチ(敬称略)。非日系人はウーゴ・カルデイラーノのみで、世界ランキングベスト10にランクインしている。
 女性の主力選手はブルーナ・タカハシで、世界ランキング50位内に入り、最も好成績が期待されている。美人姉妹として注目される妹のジュリア・タカハシにも熱い視線が注がれる。男子はグスターボ・ツボイがオリンピックのベテランで、世界ランキング30~40位にランクインしており、ウーゴ・カルデイラーノとのコンビは団体戦でもメダル獲得が期待されている。

カロル・クマハラ、ジェシカ・ヤマダ(写真提供:Gaspar Nóbrega/COB)

カロル・クマハラ、ジェシカ・ヤマダ(写真提供:Gaspar Nóbrega/COB)

試合へのキーワードは「克服」

 オヤマさんがいつも選手たちに伝える言葉が「克服(Superação)」。パンデミックに入ってからはより一層その言葉が重みを増した。
 パンデミックの初期はクラブも閉鎖し、選手たちは通常練習ができず、再開するまで自宅で自主トレーニングを続けることになった。
 「パンデミックは間違いなく障害でした。しかし、全員が克服すべき課題で、オリンピックで悪い結果が出た場合の口実にはなりません」と同監督は語気を強めた。
 ブラジルでは全員が一緒に練習できる施設はなく、各選手は所属するクラブでオリンピックに向けて日々の練習をこなしてきた。3人の選手は、ポルトガル、スウェーデン、スペインで練習し、各自がベストを尽くして良好な状態にある。
 「ブラジル人選手たちは集中力や責任感があり、私は彼女たちを信用しています。それぞれにコーチがおり、私とも信頼関係でここまで準備を進めてきました。あとは試合本番を見守るだけです」
 オヤマさんが強豪と心得るのは、中国を頂点に日本、韓国、ドイツなど。中国の3人の選手と日本の伊藤美誠選手、石川佳純選手といった世界のトップ選手と対戦しても、不安にならないメンタル面の強化も説いてきた。
 オヤマさんの目標は「結果を考えず、各試合を真剣に戦う」こと。
 「強い選手を抜けるような瞬間があれば、そのチャンスを逃さない。恐れることなくアグレッシブで、流れるような真剣勝負を見てほしいです。私たちは最高の結果を出して、ブラジルに戻ることを願っています」(続く、大浦智子記者)

練習中のオヤマ監督とブラジル女子卓球代表メンバー(写真提供:オヤマ・ウーゴ)

練習中のオヤマ監督とブラジル女子卓球代表メンバー(写真提供:オヤマ・ウーゴ)