サンパウロ州政府が21日、14日からの1週間に新型コロナ感染症による死者がゼロだった市が288あり、新規感染者がゼロだった市も18あったと発表したと21日付現地サイトが報じた。
サンパウロ州内の645市中288市で死者ゼロという事は、44・7%の市では少なくとも1週間、コロナ感染症による犠牲者が出なかった事になる。
サンパウロ州政府はこれを、ワクチン接種が進んだ結果として報告した。21日昼過ぎの会見によると、最低1回接種を受けた人は54%、2度の接種を受けたか1回のみで良いワクチンの接種を受けた接種完了者が18%に達したという。
ワクチン接種が進んだ事は死者減だけでなく、感染者や入院患者の減少も招いている。21日現在のサンパウロ州のコロナ感染者用集中治療室(UTI)の占有率は60・19%だった。UTIの入院患者は6920人で、1万3千人以上を数えた4月のピーク時の半分弱だ。サンパウロ州では、新規感染者数と入院者数、死者数の三つの数字が1カ月以上、減少し続けている。
15日付G1サイトでは、ミナス州リオ・ドッセでは4月以降、新たな入院患者が発生しておらず、コンフィンスでは30日以上死者が出ていないと報じており、同様の変化は他州でも確認されている事がわかる。
ただ、現状で懸念されるのはデルタ株(インド株)による市中感染の拡大だ。サンパウロ州でのデルタ株による感染者は7日に確認されたサンパウロ市在住の男性以降増え続け、サンパウロ市保健局は20日に感染者が8人になったと発表。21日にはさらに4人増え、12人になった。サンパウロ州では内陸部でも2人の感染が確認されており、全てが市中感染のようだ。
保健省が21日に発表したデルタ株への感染患者は、連邦直轄区6人、ゴイアス州2人、マラニョン州6人、ミナス州1人、パラナ州13人、ペルナンブコ州2人、リオ州87人、リオ・グランデ・ド・スル州3人、サンタカタリーナ州5人、サンパウロ州10人の135人で、21日にサンパウロ市で確認された4人は含まれていない。デルタ株による死者はパラナ州4人、マラニョン州1人の計5人のままだ。
保健省は20日、国外からの感染拡大を防ぐため、他国と国境を接する州にはワクチンの供給を早める方針も発表した。
サンパウロ州政府は現状を肯定的に評価しているが、デルタ株の市中感染が拡大している事などもあり、外出規制の緩和に関する判断は来週に持ち越す意向を表明した。
なお、サンパウロ州政府は21日、アストラゼネカ社のワクチンで初回接種を受けた妊婦や出産直後の女性に対して、ファイザー社のワクチンによる2度目の接種を認めた。
これを受け、サンパウロ市市役所は22日、新たな接種日程を発表。それによると、23日は30歳、24日は30~34歳と2度目の接種、26日はアストラゼネカの初回接種を受けた妊婦と出産直後の女性、30歳以上の未接種者、27~28日は29歳、29~30日は28歳となっている。
州ならびに市保健局は2度目の接種が遅れている人達にも速やかな接種をと呼びかけている。
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