陸軍大将でもあるバルテル・ブラガ・ネット国防相がアルトゥール・リラ下院議長に対し、ボルソナロ大統領が望む新投票方式を導入するよう脅しをかけていた疑惑が22日に表面化した。22日付現地紙、サイトが報じている。
この疑惑は22日付エスタード紙が報じたもの。それによると、リラ氏には8日、政治的な仲介人を通して、ブラガ氏からの「大統領の求める投票内容の印刷付の電子投票投票(ヴォト・インプレッソ)に22年から応じるようにさせろ。そうでないと22年の選挙はないと思え」という伝言を伝えられたという。仲介人が伝言を預かる際、ブラガ国防省は陸・空・海軍の総司令官を引き連れていたという。
8日はボルソナロ大統領自身が大統領官邸前で全く同じ発言を行い、物議を醸した。
この疑惑は、エスタード紙がこの2週間のうちに、ある政治グループや司法グループから聞いたことで浮上した話で、これらの人たちにはリラ氏自身が極秘で話していたという。その際にリラ氏は、「きわめて重大な問題だ」とかなり悩んでいた様子だったとされている。
そして、この件を受け、リラ氏はボルソナロ大統領のもとを訪れ、「もし、クーデターを起こそうとするなら、あなたとの関係は終わりだ」「政治危機があろうとなかろうと、あなたにはついていくが、選挙には従ってくれ」と強い剣幕で大統領に迫ったとの報告も行われている。
この報道を受け、ブラガ国防相は疑惑を否定し、「軍は憲法の範囲内で行動する」と語った。リラ下院議長もこの疑惑をすぐに否定している。
だが、この疑惑に対して、政界では強い拒否反応が起こっている。下院副議長のマルセロ・ラモス下議(自由党・PL)は、「民主主義において、軍は選挙の有無を決める立場にはない」と批判し、労働者党(PT)党首のグレイシ・ホフマン下議も、「リラ議長に民主主義に関する見解表明を求めたい」と抗議を行った。
下院では現在、ヴォト・インプレッソに関する法案審議がはじまっているが、6月の末に11政党の党首たちが共同で現行の電子投票を支持し、先週も廃案になる寸前まで行っていた。この疑惑で、同法案廃案の可能性が高まったと見る向きもある。
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