ホーム | 日系社会ニュース | ブラジル女子卓球代表のオヤマ代表監督=浜松から五輪直前の生の声聞く《下》=外出禁止以外、浜松の合宿は快適

ブラジル女子卓球代表のオヤマ代表監督=浜松から五輪直前の生の声聞く《下》=外出禁止以外、浜松の合宿は快適

オヤマ・ウーゴさん

オヤマ・ウーゴさん

コロナ禍での特異な日本滞在

 オヤマさんとブラジル卓球代表選手らは、7月13日に日本に到着した。滞在先のホテルに着いて早々、柔道の選手が新型コロナウイルスに感染したという噂が上った。事実は、ホテルの従業員とその家族にコロナ感染者が出たということで、人々の適切な対応と選手たちを取り巻く厳重な態勢で、危険は全く感じなかったという。
 今回、オヤマさんが過去に参加したオリンピックの滞在中と大きく異なるのが、試合と関係ないことで自由に外出できないこと。「ホテルの前のファミリーマートにも行けません。母親が好きな日本の海苔やカレー、マヨネーズ、100円ショップのお土産も買えません」と、日本をガラス越しにしか眺められないという。
 選手たちは他者と接触する機会はほとんどなく、ホテルでは専用のエレベーターが用意され、ボランティアの人々が必要な世話をする。
 「浜松にいるスタッフやボランティアの人々には感謝します。日本語は最低限できますが、細かいことになると、通訳の方にお願いしなければなりません。皆さんがとても注意深く安全に、健康にも気を配りながら手伝ってくれています」と外出以外は快適に大会の準備が整えられている。
 日本で販売されている卓球やスポーツ用品は、ブラジルにはない魅力がある。いつもは自分で店に出かけて商品を見に行くが、今季はスポンサーが全面的に協力してくれている。連絡をすれば、ヤサカはラケットなど卓球用品全般、ミズノは最良のスポーツシューズを郵便で届けてくれ、卓球に関して不足していることは全くないという。

卓球の練習するオヤマ・ウーゴさん(写真提供:オヤマ・ウーゴ)

卓球の練習するオヤマ・ウーゴさん(写真提供:オヤマ・ウーゴ)

無観客でもSNSで熱い応援メッセージ

 ブラジルでも卓球を行う選手は増えている。多くは日系人だが、ブラジル人はパンアメリカ大会でいつも卓球に注目しており、オヤマさんたちが金メダルを獲ることで、さらに脚光を浴びる可能性もある。パンデミックの後も卓球愛好家が増え続けることは、オヤマさんの大きな願いである。
 オリンピックは無観客試合が予定されている。浜松での練習時間も、通常なら市民が応援に駆けつけてくれるが、孤高の練習会場に様変わりした。しかし、オヤマさんがSNSなどで近況を報告すると応援のコメントが次々と寄せられる。
 「SNSのメッセージでも大変励まされ、幸せな気持ちになります。ブラジルにいる人々も、ぜひ私たちの試合を見るために早起きして、ポジティブなエネルギーを送り続けてください。視聴する価値があるような、最高の結果を出すために私たちは努力します。ありがとうございます」
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ウェブ上で特別インタビューのホストを務めたブラジル兵庫県事務所の永田展之さん(左下)、植田クリスチアネさん(上中)、林恵さん(上右)とオヤマ・ウーゴさん(下中)

ウェブ上で特別インタビューのホストを務めたブラジル兵庫県事務所の永田展之さん(左下)、植田クリスチアネさん(上中)、林恵さん(上右)とオヤマ・ウーゴさん(下中)

 今回、オヤマさんへのウェブ上のインタビューでホストを務めたブラジル兵庫県事務所の永田展之所長は、「笠戸丸は神戸港から出港しました。兵庫県はブラジルの日本人移民の故郷です。日系ブラジル人のことは喜ばしく、私も兵庫県出身で今はブラジルに住んでいます。東京オリンピックに出場されるオヤマさんたちは私の誇りです。日本とブラジル両国を応援しています」と声援を送り、24日から始まる試合を待ち望んだ。(大浦智子さん、終)