24日、サンパウロ市南部サントアマーロ地区に建てられている17〜18世紀の奥地探検隊(バンデイランテス)のリーダーとして、当時は英雄視されていたボルバ・ガット(1649〜1718年)の銅像が焼き討ちにあった。バンデイランテスは金銀採掘を目指して奥地に踏み入り、インディオや黒人を奴隷として従えて強制労働させていた。そのため、ボルバ・ガットにも先住民虐殺に加担したとの言い伝えがあり、かねてからこの銅像に反感を持つ市民もいた。25日付現地紙などが報じている。
事件が起こったのは24日13時30分頃、市南部の地下鉄5号線ボルバ・ガット駅前に建てられている銅像前に黒人を中心とした団体のメンバーが集まり、駐車中のトラックからは外したタイヤなどを銅像の足元に置いて火をつけた。
火はあっという間に燃え広がり、銅像全体が炎に覆われた。この光景はショッキング映像としてネットで拡散され、テレビでも全国的に報じられた。焼き討ちを行った団体のメンバーは翌25日に逮捕された。彼らはファヴェーラの黒人グループだった。
この犯罪行為に対し、リカルド・ヌーネス・サンパウロ市市長は「嘆かわしい」と批判した。
だが、この焼き討ちに関するネット上での意見は二分されている。それは、このボルバ・ガット像が建立された1963年以来、「道義的に問題がある」とされてきた経緯があるためだ。