セントロン最大政党の進歩党(PP)党首のシロ・ノゲイラ上議を官房長官に迎えるにあたり、連邦政府内で様々なひずみが生じ始めている。26、27日付現地紙などが報じている。
ノゲイラ氏は27日、官房長官就任を正式に受諾した。この背景には上院のコロナ禍の議会調査委員会(CPI)での保健省のコロナワクチン不正契約疑惑などでボルソナロ大統領の罷免問題につながりかねない危機を回避する目的が込められている。
だが、セントロンに強い影響力を持つノゲイラ氏の入閣は、大統領の一存で決まったと見られ、連邦政府内に様々なひずみを生じさせている。
そのひとつが、22年の連邦予算基本法(LDO)における選挙キャンペーンのための財政特別基金(フンドン)の問題だ。22年の選挙における政党支援金の財源であるこのフンドンが、22年はそれまでの20億レアルから57億レアルにと約3倍に増えることが連邦議会で承認されたことに対し、金権政治を嫌ってボルソナロ氏に大統領選で投票した支持者たちは大統領に拒否権を行使することを望んでいた。
これに対して、ボルソナロ氏は26日、結局40億レアルでの修正のみで拒否権行使を終わらせた。この修正は緊急入院から復職した直後のボルソナロ氏が当初、希望した額であったが、支持者の反対が強く、一時は「増額そのものの拒否を行うか」とも囁かれた。だが結局、選挙年の資金増額を望むセントロンに楯突けない形となった。
また、ノゲイラ氏を官房長官に迎えるにあたっての配置換えでも問題が生じている。
ひとつは、ルイス・エドゥアルド・ラモス官房長官の処遇だ。ラモス氏は政局調整(アルチクラソン)を任されていたが、下院での調整が機能していなかった。フンドン承認のいきさつを大統領に伝えた際も、下院副議長の失策などと報告し、それまでは中立の立場だった下院副議長が反対派に鞍替えする原因を作るなど、連邦政府内で不満を抱かれ、解任を求める声も強まっていた。
だがラモス氏本人は「辞任を求められるのは電車にひかれたような気分」などと発言し、大統領府からの撤退を固辞していた。ボルソナロ大統領はこれを受け、旧友でもあるラモス氏を大統領府総務室長官に配置換えすることにした。
だが、ここで問題になるのが、現在の総務室長官であるオニキス・ロレンゾーニ氏の次の役職だ。オニキス氏は次の役職として、経済省から独立させる旧労働省(名称は「雇用・社会保障省」に改名)の大臣となる予定だ。ノゲイラ氏を官房長官に迎えるために大統領が突然発案した新省創設には経済省がとまどった上、政治家たちも新たな費用発生や計画の一貫性のなさを強く批判。ロドリゴ・マイア前下院議長も「オニキス氏のためだけに経済省が一部を失うなど、屈辱だ」と怒りをあらわにしている。
これに対してパウロ・ゲデス経済相も、「オニキス氏が大臣を降りたら、雇用と社会保障の部門は経済省に戻してほしい」と、あくまで新省が一時的なものであることを願う発言を行っている。
オニキス氏は来年のリオ・グランデ・ド・スウ州知事選への出馬が囁かれているが、そのためには来年4月には大臣職返上の必要がある。