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《ブラジル》ボルソナロ「不正投票の証拠見せる!」=大見得切って「証拠なし」ただのネット情報羅列=政治家から抗議の嵐

29日のボルソナロ氏の生放送(twitter)

 ボルソナロ大統領は29日、かねてから予告していた「過去の大統領選で不正のあった証拠を見せる」としたネットでの生放送を行った。だが、大統領が主張した「証拠」なるものは既にネット上で否定されたものばかりで、結局、不正の証明はできずに終わった。30日付現地紙が報じている。
 この問題は、ボルソナロ大統領が3年間、「ブラジルのこれまでの選挙には不正がある」と主張し、現在の電子投票に代わる投票方法の導入を主張したことで起こっていた。
 ボルソナロ氏の主張は、米国大統領選で敗れたドナルド・トランプ氏が不正を訴え続けた昨年11月頃からより頻繁に行われ始めた。
 ボルソナロ氏は投票結果の印刷付の投票「ヴォト・インプレッソ」を求め、連邦議会に憲法改正を求めた。だが、選挙高裁のルイス・ロベルト・バローゾ長官が、「これまでの電子投票で不正の確認が行われていないのに無意味で時代に逆行」と反論。6月27日には下院でも11の政党がバローゾ氏に賛同の意を示す共同宣言を出した。
 ボルソナロ氏は、「2014年大統領選はアエシオ・ネーヴェス氏が不正で負けた」「18年大統領選でも、私は一次投票で勝っていた」と主張したが、アエシオ陣営から直接否定されるなどして証拠が示せなかった。
にもかかわらず、大統領は「投票方式を変えないと選挙はさせない」と主張し、今月に入ると、陸軍大将でもあるバルテル・ブラガ・ネット国防相によるアルトゥール・リラ下院議長への威嚇行為疑惑も発生。「大統領の行為は民主主義に反する」と、国民からも反感が強まっていた。

 大統領は今週に入り、「29日に不正疑惑の証拠を見せる」と宣言し、この日のネット生放送に注目が集まった。
 だが大統領が示したものは、既にネット上で浮上して否定された有名なものばかりで、新鮮味さえなかった。動画の中には、木に鍼治療を行うという占星術師が14年選挙での不正を批判するという不可思議なものも含まれていた。選挙高裁のサイトは放送と同時に各動画の真偽確認を行い、次々と否定した。
 ついにはボルソナロ氏本人が「これらは兆候であり、証拠ではない」と認める形になった。
 この放送に対して、多くの政治家たちが強い不満をぶつけた。左派からは「ばかげている」(グレイシ・ホフマン労働者党党首)、「来年の選挙のクーデター・キャンペーン」(ギリェルメ・ボウロス氏・社会主義自由党)などで、セントロンからは「今日見たものはあまりにもひどすぎて問題だ」(ジルベルト・カサビ社会民主党党首)、「待たされて見たのは屑の寄せ集め」(マルセロ・ラモス下院副議長)など。保守派からも「また嘘をついた」(ジョアン・アモエド・ノーヴォ設立者)、「これ以上、選挙批判をさせるわけにはいかない」(キム・カタギリ下議)などの厳しい言葉が飛び交った。