3日に行われた上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)で、アストラゼネカのコロナワクチンの違法契約を行った疑惑のある団体代表で福音派牧師のアミルトン・ゴメス・デ・パウラ氏が証言を行った。アミルトン氏は数々の虚偽証言を行っては委員たちに否定され、ついには泣き出す一幕もあった。同氏がボルソナロ大統領と直接交渉を行った疑いを委員たちは抱いている。3、4日付現地紙、サイトが報じている。
非政府団体「全国人権問題事務局(Senah)」のアミルトン代表は保健省の許可の下、米国ダヴァティ社とアストラゼネカ社のコロナワクチン4千万回分の違法契約を行い、地方自治体に売りつけようとした疑惑と、ボルソナロ大統領と直接交渉を行った疑惑をもたれている。
今回の証言でアミルトン氏は、まず「自分はダヴァティ社のワクチン不正に利用された」と語り、「連邦政府関係者は誰も知らない」とまで語った。
だが、アミルトン氏は3月に保健省と交渉を行った事実が報じられており、ボルソナロ大統領と面会したと思われる様子もダヴァティのブラジル販売員のルイス・パウロ・ドミンゲッティ氏の携帯電話で伝えられている。
アミルトン氏はほどなくして、自身がボルソナロ大統領の大統領選時に所属していた社会自由党(PSL)に入党し、選挙キャンペーンも手伝っていたことを明かした。また、ボルソナロ派の軍人のエウシオ・ブルーノ氏を介して、保健省と会議を持ったことも認めた。
そこでウンベルト・コスタ委員がアミルトン氏に対し、ドミンゲッティ氏の携帯電話の記録を指摘し、「3月16日にあなたはワクチン契約計画を命じた人物と会ったと伝えたというが、本当か」と尋ねると、同氏は「会った」と答えた。アミルトン氏はそれがボルソナロ氏やミシェレ夫人であることを否定したが、委員たちはボルソナロ氏と解釈している。
アミルトン氏はボルソナロ氏に関して、「3月14日に福音派の会合があった際、たしかに私は大統領に会えるかもしれないといった。だが、15日は内部で問題が起き、会えなかった」と主張した。
アミルトン氏はボルソナロ氏と面識がないとしているが、2019年10月24日にSenahの本部としての「平和のための人権大使館」という建物の落成式を行った際、ボルソナロ氏の肖像画を自分の肖像画と並べて飾った上、「大統領はこのプロジェクトを全面的に支援してくれている」と語っている。また、長男フラヴィオ上議とともに写真に写ったことなども報じられている。ただし、この建物はもう、同団体の名前では使用されておらず、実質的な活動の形跡もないと報じられている。
アミウトン氏はその後も、Senahがブラジル全国司教会議(CNBB)や国連とつながっているとの嘘を指摘された上、「ワクチンを市に売り込んだりはしていない」という主張を行い、委員たちからメールの存在などで否定された。
そうしたことが重なり、アミルトン氏はマルコス・ロジェリオ委員との会話中、「私が間違っていた。ゆるしてくれ。私はブラジルにワクチンを届けたかっただけなのだ」と泣き始める始末だったという。