コーザンとシェルの共同企業ライーゼン(RAIZEN)が新規株式公開(IPO)で69億レアルを獲得し、エネルギー部門最大の時価760億レアルの企業として市場上場と3~4日付現地紙、サイトが報じた。
ライーゼンという名は根(Raiz)とエネルギー(Energia)を組み合わせたもので、サトウキビを原料とする砂糖とエタノールの生産と燃料配送を行うブラジル有数のグループ企業だ。
サトウキビを原料とするエタノール生産で世界一を誇るコーザンと、燃料部門で世界的なシェアを持つシェルの経営権は同率で、シェルのネットワークを使った燃料配送は国内2位の20・5%のシェアを誇っている。現在はアルゼンチンでも活動し、年商は1150億レアル、従業員数は2万9千人超、取引先は1万5千社に及ぶ。
今回のIPOは「第2世代のエタノール(E2G)」を前面に打ち出したもので、当初の目標は130億レアルだった。
実際には株価を目標より低めの7・40レアルに設定して実施した。それでも、69億レアルはサンパウロ証券・商品・先物取引所では今年最大で、新パートナーとして、SPXやJGPといった国内企業やOaktree、GQGなどの外国企業を獲得した。
69億レアルは基本のオファーと、予定数を超える需要分の株券を大株主などから一時的に借りて提供するオーバーアロットメントで得たもので、予定数以上の株券は売り出していない。
E2Gに関するIPOは国内では今年最大で世界初でもあった事と同社の品が国際的な知名度の高いシェルのネットワークを通じて流通している事で、IPOの需要は300億レアルに達した。
また、60%は国外企業が占め、140億レアルを個人投資家が占めた。同社同様、再生可能な原料を100%使った燃料生産で投資を呼び込んだ世界初の企業はフィンランドのNesteだ。
同社の時価はこのIPOで760億レアルとなり、エネルギー部門ではブラジル最大の企業として上場する。同社の時価はコーザンの480億レアルを上回っている。
ライーゼンは今回のIPOに先駆け、IPOで得た資金の80%は再生可能な燃料生産のための施設拡大と燃料配送能力向上のために用いる事を明言している。
今回のIPOで前面に打ち出されたE2Gは、サトウキビの搾りかす(バガッソ)などを使って生産するため、同一面積の土地で栽培したサトウキビで作られるエタノールは50%増える。E2Gは食料生産に影響を及ぼす事なく燃料生産を増やす事ができるため、温室効果ガス排出量の削減にもつながる。
現時点での同社の再生可能エネルギー部門の粗利益の83%は第1世代のエタノールからのもので、残り17%は、E2Gやペレット、内燃機関などの排熱利用のコジェネレーション、バイオガスなどからのものだ。
地球温暖化抑制のための温室効果ガスの排出量削減は世界的関心事で、再生可能な原料による燃料の開発や生産施設拡充などへの投資やそのためのファンド利用者は年々増えている。