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《サンパウロ市》路上生活者救済=有志が寄付集めバンを寄贈=組合本部での宿泊サービスも

寄付を集めてバンを寄贈と報じる3日付G1サイトの記事の一部

 サンパウロ大司教区のジュリオ・ランセロッティ神父らによる路上生活者救済活動を支援するため、バーチャル募金活動で約3万レアルを集め、Kombiと呼ばれるバンを購入して寄贈した人達がいると3日付G1サイトなどが報じた。
 寄付に参加したのは、サンパウロ大都市圏ABC地区の金属労組のような組合や市民団体、法曹界や政界の人々だ。コロナ禍の中では各戸訪問や街頭での募金活動は困難だが、バーチャルで寄付を募ったところ3万600レアルが集まり、路上生活者用の物資を運んだりするのに使うKombi車を買い、7月28日に神父に届けたという。
 ジュリオ神父はこれまでもKombiを使っていたが、非常に古く、いつも修理が必要だったため、活動に不便さを感じていた。今回の寄付はその辺の事情を知る人達が自発的に行ったもので、新しいKombiは既に、路上生活者救済用の食料品や毛布、衣類を運ぶのに使われている。
 同神父は、「救済活動に携わっているメンバーは皆、多くの人達の善意を心から喜び、感謝している」と語っている。
 募金活動を思い立った金属労組のモイゼル・セレルジェス氏は、ジュリオ神父を訪問した時、救済活動用のKombiが本当に古いのに気づき、聖市東部モオッカ区にあるサンミゲル・アルカンジョ教会を通じて行われている救済活動を支援するための寄付を募る事を考え付いた。
 「聖市の路上生活者を助けようというジュリオ神父の働きは本当に美しい。こういう働きにまい進している人はほんの一握りだ。それならば、あれに代わるKombiを買うための寄付を募ったらどうだろう」との声に同意した人達がバーチャルでの寄付に応じ、目標額を達成した。

 ジュリオ神父は、「今回の募金活動は、多くの市民が路上生活者達にも思いを寄せてくれている証拠だ。寒い時期は特に注意が必要だが、彼らの必要には目をつぶる人達もいるという点も、我々が乗り越えなければならない壁だ」と語る。
 今年は例年になく寒さが厳しく、聖市では6月30日以降、既に17人の路上生活者が凍死しているとの報道もある。だが、彼らの必要に敏感なのはKombi購入に動いた人達だけではない事は、7月30日から始まった地下鉄職員組合の活動でもわかる。
 職員組合はジュリオ神父達と提携し、この冬の間は毎晩8時から朝8時まで、同市東部タツアペ区にある組合本部の扉を開けて路上生活者の宿泊を認め、食事を提供している。現在は約40人が集まっているという。
 地下鉄職員組合の役員によると、本部には駐車場もあるから、普通の収容施設には持ち込めない廃品回収用のリヤカーなどの持ち込みもOKだ。また、路上生活者は本部に着くと、ジュリオ神父達が用意した衛生用品セットや暖かい食事を受け取り、衣類を着替える事もできる。
 職員組合は既に、州政府が本部を差し押さえたりしない限り、来年以降も毎冬、この活動を続ける事や、地区内の貧困者のために毎日、約180食の弁当を作り、配布する事も計画している。