新型コロナの犠牲者は5日現在で56万人を超えたが、ワクチン接種で増加ペースが鈍り、7日間平均は1月8日の864人以来の800人台となった。だが、デルタ株による感染拡大で、第3の波の発生を懸念する声が高まっている。
5日現在の死者は56万706人で、10日間で1万人増えた。だが増加のペースは鈍り、7日間平均は、1千人を切った7月31日の989人以降、987人、960人、942人、918人と減少が続き、5日には887人となった。
サンパウロ州政府が4日に、7月25~31日は645市中346市で死者ゼロを記録し、入院患者も減ったと発表するなど、ワクチン接種の効果を示す結果が出ている。
他方、最近のデルタ株の感染例増加や、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)がここ3週間、重度の呼吸器系疾患の患者がやや増加傾向にあると発表するなど、気がかりな報道もある。
デルタ株の感染拡大はより深刻で、4日には、リオ市の新規感染者の45%、リオ州全体では26%がデルタ株感染だったとの発表があった。リオ州保健局によれば、PCR検査で陽性となった患者(一部)の検体368件を解析した結果、ガンマ株(マナウス株)66・47%、デルタ株26・09%、アルファ株(英国株)0・8%だった。
7月20日の発表では、379件中78・36%がガンマ株、16・62%がデルタ株への感染だった。これを受け、3日までに確認されたリオ市のデルタ株患者は62人となった。
同日はサンパウロ市アドウフォ・ルッツ研究所がサンパウロ大都市圏の新規感染者の23%はデルタ株に感染していたと発表。同時点でサンパウロ市の同株感染者は50人に修正された。
この日はブタンタン研究所が、感染の有無と株の確認迅速化のための移動ラボ開設を発表。従来は10~12日かかっていた株の確認が、24時間で可能になる。第1陣は6日から1週間、アパレシーダ・ド・ノルテ市に留まり、500件の検体を解析する予定だ。
なお、2日付G1サイトは、連邦直轄区はデルタ株への感染率が最も高い事と、専門家が感染第3波の発生を懸念している事を報じた。全国の知事達は5日、デルタ株の感染力はオリジナル株の倍で、ガンマ株よりも30%強いとの研究報告に言及して第3波への懸念を訴え、リオ州へのコロナワクチンの追加配布を求める文書をケイロガ保健相に送った。
これらの動きを受け、リオ市のパエス市長は6日、デルタ株による感染拡大の可能性が増している事を認め、状況が改善しない時は9月2日からの予定だった「再開」を記念するイベントを延期する可能性を示唆。ファイザー社製ワクチンの接種間隔短縮や高齢者への3度目の接種の前倒しも検討し始めた。
他方、Fiocruzは4日、重度の呼吸器系疾患による死者は減っているが、アクレ、南麻、パラーの3州やポルト・アレグレ、リオ・ブランコの2州都では増加傾向にある事や、高齢者の入院数が増えている事などを発表した。昨年の同統計での死者の大半は新型コロナの犠牲者だった。