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広島文化センター=原爆投下76周年慰霊法要=「放射能にワクチンはない」=コロナ犠牲者も一緒に追悼

梶原マリオ輪番

梶原マリオ輪番

 ブラジル広島文化センター(吉広ロベルト貞夫会長)は6日、ウェブ上で「広島原爆76周年慰霊法要」と「新型コロナウイルスによる犠牲者への追悼法要」を行った。毎年、ブラジル被爆者平和協会(森田隆会長、2020年に解散)と南米浄土真宗本願寺(西本願寺)が執り行ってきた同慰霊法要は、今年はパンデミックの状況を考慮し、広島文化センターと西本願寺のユーチューブで放映された。

 慰霊法要は原爆が投下された午前8時15分に開始した。76年前の原爆投下の状況とブラジルでの被爆者平和協会の設立経緯が簡単に紹介された後、伯国別院の梶原マリオ輪番の読経により、しめやかに焼香する映像となった。同時に、昨年に広島の平和記念公園で実施された平和記念式典で、水を求めながら亡くなった原爆犠牲者のために水を供える献水や献花の映像も放映された。
 

吉広ロベルト貞夫広島会長

吉広ロベルト貞夫広島会長

梶原輪番は法話の中で、「今でも喪った子供や肉親のことを朝夕に思い出し、悲しみをあらたにしている人々がいること」に思いを寄せ、「多くの犠牲者の上に今日の繁栄が成り立っていることを忘れてはない」と強調した。
 昨年から新型コロナウイルスの影響により、オンラインによる慰霊法要が実施されており、中野超証((ちょうしょう)晃治(こうじ))開教使補が昨年12月に亡くなったことも報告され、共に冥福を祈った。
 吉広会長は、「この沈黙の戦争で多くの友人や家族を失い、苦しみや金足身が持たされたが、76年前の広島と長崎市民の苦しみは比類のないもの」とあいさつで述べ、毎年世界各国から若い広島人を広島市に集めて、それぞれの国で平和を広めるリーダーを育成するべく研修を行っていることを紹介。慰霊法要にメッセージを寄せた湯崎英彦広島県知事、松井一實広島市長、森田隆ブラジル被爆者平和協会会長、梶原マリオ会長と酒井ノエミア夫人に感謝の意を表した。

ブラジル被爆者平和協会の森田隆会長

ブラジル被爆者平和協会の森田隆会長

 今年97歳になる森田会長は、21歳の時に広島で被爆し、1984年から被爆者協会を立ち上げて仲間とともに活動してきた。昨年からの新型コロナウイルスの問題と原子爆弾がもたらす放射能被害を「目に見えない不気味な恐怖」ととらえ、被爆者は76年間、この問題と直面して生きてきたと証言した。
 また、新型コロナウイルスに対しては、ワクンチが開発され、前途に明かりが見えてきたが、放射能にはワクチンはないことを憂い、「核被害は考えられないほど長い年月地上にとどまり、人類を犯し続ける」と訴えた。森田会長は、「今後も命ある限り、平和活動に貢献したい」と力強く述べた。
 同慰霊法要の様子はユーチューブの広島文化センター(https://www.youtube.com/watch?v=EaDJ1FAVQcs)、南米浄土真宗本願寺(https://www.youtube.com/watch?v=2jdZ6t8gK8Y)で再生できる。
 なお、パンデミックの厳しい状況を憂慮して、西本願寺では下記の銀行口座にお布施を募っている。Banco Caixa Econômica Federal (104) 、Agência 0255、Conta Corrente 003 00002237-5、CNPJ 43.505.056/0001-00、PIX (chave) 43.505.056/0001-00(※入金後、銀行の明細書の画像を西本願寺のワッツアップ〈11・2275・8231〉に送ってほしいとのこと)

松井広島市長

松井広島市長

湯崎広島県知事

湯崎広島県知事

西本願寺での広島原爆76周年慰霊法要とコロナ犠牲者追悼の様子

西本願寺での広島原爆76周年慰霊法要とコロナ犠牲者追悼の様子