路上生活者への慈善活動で知られるサンパウロ市のジュリオ・ランセロッティ神父が、同市セントロのクラコランジアで麻薬常用者への食料配布を軍警に止められたと訴えた。この一件は、ジャナイーナ・パスコアル・サンパウロ州議による「神父の行為は犯罪者を助ける行為」とのネット上の発言で炎上する騒ぎともなった。7、8日付現地サイトが報じている。
事の発端は7日、ルス地区のクラコランジアで、ランセロッティ神父をリーダーとするグループ「パストラル・ド・ポヴォ・ダ・ルア・デ・サンパウロ」が路上生活者たちに食料を配布しようとして、軍警から立ち入り禁止を命じられたことだ。
同神父によると、ボランティアたちは軍警たちがいない道路を見つけて地区内にはいろうとしたが、軍警たちは「命令に従わなかった」として、身分証明書の番号などの個人情報をたずねはじめたという。神父は、軍警が不当な告発に個人情報を使う可能性もあるとして、軍警の行為を慈善活動に対する威嚇とみなしている。
なんとか説得して食料は配布できたものの、軍警は神父たちに対し、「自分たちの職務をめちゃくちゃにした」と捨てゼリフをはいたという。
ランセロッティ神父がSNS上でこの話を明かすとたちまち話題となった。最も大きな反響を読んだのは、ジウマ元大統領の罷免請求書を作ったことで知られる保守派のジャナイーナ州議による、「クラコランジアでの食料配布は犯罪を助長するだけ」というツイート。同州議は諸方面から猛抗議を受けた。
ランセロッティ神父もこれに対し、「60万人近くの人がコロナで死んでいるときは黙っていて、食料を提供する神父にはいきり立つ」とジャナイーナ氏を揶揄する投稿を行い、話題を呼んだ。