5)諸般の状況から憶測すると、今や抗癌剤の40%は植物由来の生薬が原料となって居る。 この比率の兆候は今後ますます顕著になるものと推測される。よって今後の栽培事業に新規 参入を意図される後継者諸賢への参考になればと、往時のキノコ栽培法の一端を紹介したい。
1991年、標高3210mのイタリアとオーストリアとの国境のアルプスの氷河で発見され、約5300年前の男のミイラ、通称アイスマンの所持品から火打ち石での着火をより良くする 火口(ホクチ)に使うツリガネタケの乾物が発掘されています。また青森県の近野(チカノ)縄文遺跡では、毒キノコであるサクラシメジがキノコの形をした土器で出土しています。
これは採集したキノコと毒キノコを判別する為の照合見本として携行し、また他のキノコは祭具に、さらには既に栄養豊かな食材とされていました。先人の多くはキノコは植物の一種と見做していたので、キノコとは生物分類上一体何に属するかと問われても一瞬、戸惑います。
正しくは、キノコとは俗名で生物分類上キノコは植物でも動物でも無く、栄養素から判断すれば植物より動物に近いが、何々属や科と呼ばれずに、独立した生物群の「菌類」に属したカビや酵母と同類です。生物学でキノコとは「子実体」と云う胞子を作り出す器官の一部に過ぎず、繁殖を担う菌糸は地中やキノコ栽培の菌床堆肥に張り巡らされ、気温、湿度、ストレスなどの生育 環境の変化に伴う刺激により、菌糸から先ず子実体が生生され、胞子が作られ、飛散し次世代の繁殖に至ります。
キノコは本体が菌糸と云う長く連なった細胞で、食物繊維が多く腸の清掃や整腸作用があり、コレステロールや中性脂肪を排除し、便秘を治し低カロリーでダイエット にも効果があります。冷凍すると旨味成分のグアニル酸が生成されるので、キノコは解凍する事なく直接加熱するのが料理の極意です。
一方、1950年頃より普及されたが今や世界的な環境汚染の元凶でもあるプラスチック禍の 対策には各業界や自治体が重視し尽力していますが、世界の年産量は4億トン、日本だけでも 1000万トンにもなり、石油使用量の10%はプラスチックの原料として消費されています。