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《ブラジル》夫殺し容疑下議の議席剥奪=議員特権喪失で逮捕目前か

フロルデリス氏(Cleia Viana)

 11日、下院本会議で、フロルデリス下議(60、社会民主党・PSD)の議席剥奪が圧倒的多数で成立した。同下議は2019年8月に夫の殺害計画容疑が浮上し、リオ州検察局から告発されていた。12日付現地紙が報じている。
 フロルデリス下議の投票は11日午後に行われ、437対7(投票棄権12)という、圧倒的な得票差で議席剥奪が決定した。フロルデリス氏に代わる下議には、補欠だったジョネス・モウラ氏(PSD)が昇格、就任する。
 フロルデリス氏は元来はゴスペル歌手として活躍。2009年に彼女を主題にしたドキュメンタリー映画がヒットしたことで注目を浴び、ゴスペル界を代表する歌手となった。この人気に乗った同氏は、2018年の下院選にリオ州の候補としてPSDより出馬。同州の女性候補としては最多の19万6千票を獲得して当選していた。
 同氏はまた、同じ保守派でリオ州選出下議だったボルソナロ大統領の熱心な支持者でかつ懇意な間柄で、ミシェレ夫人も含め、しばしば同じ写真に写った姿も目撃されている。

 だが、2019年6月16日に夫で牧師のアンデルソン・ド・カルモ氏がリオ州ニテロイ市の自宅で射殺された。その2日後に、養子のルーカス・ドス・サントス・ド・カルモ容疑者(18)が逮捕された。だが、殺害にいたった原因がアンデルソン氏の不倫などだったことなどや、実子らも共犯であることが判明したことで、フロルデリス下議が怪しまれるようになった。同年8月24日にリオ検察局が同下議を殺害計画の容疑で起訴すると、当時のニュースを独占した。
 フロルデリス氏は連邦議員であったため、不逮捕特権によって逮捕を免れていたが、国民からは処分が遅れ続けていることに関する批判が続いていた。
 今回は、検察の起訴から約2年遅れて、やっと議席剥奪が決定。これにより、フロルデリス氏が逮捕されるのは時間の問題となった。
 同件に関しては、11日の投票に先立つ倫理委員会でも、フロルデリス氏が自身の議員としての影響力を証拠隠滅のために使っていたなどの報告が行われていた。
 アンデルソン氏の弁護側は剥奪決定後、フロルデリス氏の早期逮捕を望む声明を出している。