気候変動による少雨・干ばつが続く中、ブラジルの水や電力の供給の中心をなす南東部や中西部での水危機がより深刻化していると13日付現地紙などが報じた。
降水量が最も多いのは9月から翌年3月にかけてだが、昨年から今年にかけての降水量は過去91年間で最少で、深刻な水危機が起こる事は6月以降、頻繁に言われてきた。だが連邦諸機関は、南東部や中西部での少雨・干ばつとそれに伴う水危機を認めつつも電力危機はないとし、具体的な対策を避けてきた。
史上稀な水危機はブラジルの貯水量の70%を占める南東部と中西部の貯水池や貯水ダムの水量低下も招いている。6月現在は28・92%だった同地域の貯水量は、11日現在で24・64%まで低下した。
貯水量や川の水位の低下はグランデ川、パラナ川、パラナパネマ川、パラグアイ川の全ての流域に広がっており、パラナイーバ川の流域では、貯水量が15%を下回っている。
広域での水危機は、飲用水や生活用水、灌漑用水の不足や電力供給への懸念、水運など、広い範囲に影響を及ぼす。飲用水や生活用水への影響を示す例は、南東部や中西部、南部の53市での水の輪番供給だ。
輪番供給となっている市や地域の中には、パラナ州都クリチバ市とその周辺都市のような大都市圏も含まれる。同州ではクリチバ市など29市で36時間供給後、36時間断水というサイクルの輪番制を採用している。
サンパウロ州イツー市も水源地の貯水量が32%に落ち、7月初旬から日替わり供給だ。サルト市も1日12時間の供給となっている。同様の事態はミナス州やマット・グロッソ州、マット・グロッソ・ド・スル州でも起きている。
他方、水危機にも関わらず増えているのが電力消費量だ。電力調査公社(EPE)によると、6月の電力消費量は昨年同月比で12・5%増えており、工業部門の伸びは19・4%に及んだ。
商業部門や家庭用電力も各々、19%と4・9%増えており、今年に入ってからの全国の累積消費電力は昨年同期比で7・7%増を記録。この傾向は今後数カ月間続く見込みだという。また、今年に入ってからの電力消費量はパンデミック前の2019年同期を超えている。
リオ連邦大学(UFRJ)電気部門研究グループ(Gesel)によると、パンデミックで減った在庫を回復させる必要などに駆られ、電力消費量が特に多い部門での生産活動が活発化しているという。消費量が増す事自体は経済活動が回復してきている証拠だが、水危機が深刻化する中ではこれも懸念事項だ。
鉱山動力省などは6月以降、大口消費者にピーク時を避けた電力消費を呼びかけたりしていた。だが、水危機の深刻化で電力供給にも不安が生じ始めている事で、9月1日以降、工業部門や家庭にも節電を呼びかける事を考えている。火力発電を多用する必要があるため、電気代がさらに値上がりする可能性もあるが、節約に応じた消費者には電気代の割引なども検討されているようだ。