新型コロナのパンデミックで、ブラジルでは失業率がより高くなったが、2年以上仕事を探している人の3人に2人は女性である事や、半数は17~29歳の若者である事がわかった。失業状態が長引くと非正規雇用に流れたり、職を探すのをあきらめたりする事につながると17日付Terraサイトなどが報じた。
長期の失業者は女性や若者、低学歴者が多い事は経済省経済政策局(SPE)のデータから明らかになった。
2012~20年の統計を見ると、2年以上失業状態の人に占める女性の割合は、59・9~67・8%で常に過半数を占めている。20年の場合は60・8%で、18年の59・9%に次ぐ低さだったが、それでも女性の方が仕事を見つけにくい事は明らかだ。
17~29歳の若者の割合は46・9~50・5%で、常にほぼ半数を占めている。2年以上失業状態が続いている若者の80%は低学歴(最大でも高卒)で、就職時に役立つ知識や技能などを持っていない事も明らかになった。
専門家は、仕事を探しても見つからないという状態が長引けば、何らかの知識や技能を身につけようという意欲も薄れ、競争力がより低下すると指摘している。
仕事に就けない状態が長引くと、人的資産を喪失する可能性が増し、労働市場に取り込まれる可能性も低下する。そういう意味で、2年以上失業状態が続いている人の存在は、国全体で見ても大きな損失となる。
連邦政府は現在、18~29歳の若者や55歳以上の高齢者の就職を助けるためのプログラムを準備しようとしているが、現時点では女性を救済するためのプログラムは皆無だという。
サンパウロ総合大学(USP)のジョゼ・パストーレ教授は、ブラジルの労働市場はまだ、コモディティやサービス業への依存度が高く、高度の知識や技術を必要としない職種についている人や、非正規雇用者が多いと指摘している。
同氏によると、ブラジルの労働者の3%は識字能力がなく、32%は小中学校卒以下(卒業または中退)、41%は高卒以下で、大卒または大学中退以上は24%しかいないという。
失業状態が1年以下の人は、12年の5%が14~17年には8・1%に増えた。17~19年は7・3%に減ったが、20年は9・5%に増えている。
他方、失業期間が長引いている人は、14年の1・2%以降、19年まで増加が続き、3・2%に達したが、20年は2・6%に低下した。
ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所のフェルネンド・ヴェローゾ氏によると、14~16年の景気後退期は労働者が求職を継続したが、パンデミックの期間中は、労働市場の状況悪化と緊急支援金の支給などで求職を諦め、労働市場の外に身を置く人が増えている。経済危機の影響は非正規雇用者や低学歴者ほど大きいという。
経済危機の影響は長期化する傾向にあり、世界銀行は、ブラジルではパンデミックの影響は9年間続くと予測している。