《サンパウロ州》軍警司令官が大統領援護投稿で更迭=現役警官らが最高裁や知事を批判=独立記念日デモに向け漂う不穏な空気

ボルソナロ大統領への支持を表明する軍警や退役軍人らが、9月7日に予定されている最高裁や連邦議会に対する抗議行動への参加を呼びかけたりしていることを、州知事たちが懸念し始めている。23、24日付伯字紙、サイトが報じている。
ボルソナロ大統領が熱望した22年選挙での「印刷付き投票」(ヴォト・インプレッソ)が11日の下院で却下されたことや、自分自身も「デジタル・ミリシア(ネット犯罪者)」捜査の対象となったこと、ブラジル労働党(PTB)党首のロベルト・ジェフェルソン氏らの大統領支持者たちの相次ぐ逮捕などは大統領を激怒させている。それに対し、警察官や軍人が反乱的行動を呼びかけて連帯を示そうとする投稿が目立ってきている。
23日、ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事は、州内陸部ソロカバ地方を管轄するCPI―7と呼ばれる軍警管区司令官のアレクサンデル・ラセルダ大佐を停職処分とした。理由はラセルダ氏がネット上で部下に対して独立記念日に行われる予定の抗議行動への参加を呼びかけ、最高裁や最高裁判事への攻撃も行ったためだ。
ラセルダ氏はそれ以外にも、ロドリゴ・パシェコ上院議長やドリア知事、ロドリゴ・マイア前下院議長を批判する発言を行っていた。現役軍警が政治的発言を行ったり、政治的なイベントに参加したりすることは禁止されている。
9月7日の抗議行動への参加を呼びかけたりしている軍人はラセルダ氏だけではない。22日には、軍警退役大佐で現在は聖州食料保管センター公社(Ceagesp)総裁のリカルド・アウグスト・ナシメント・デ・メロ・アラウージョ氏が、軍警が一体となって抗議行動を支援するよう呼びかけ問題となっている。
そのほか、エスタード紙が調べただけでも、リオ州州議のエドゥアルド・ダ・シウヴァ・マルケス・ジュニオル軍曹、サンタカタリーナ州の国立気象観測所(Inmetro)所長のルジネイ・フロリアーノ准尉、パライバ州州議のジルベルト・シウヴァ伍長などが、軍警でありながら、別の役職に突いているために内部規定に縛られない立場にある人物が、ネット上で同様の行動を呼びかけていることがわかっている。
また、エスピリトサント州のカピタン・アスンソン、サンタカタリーナ州のサルジェント・リマといった州議たちも、州議会内外の軍警関係者似、イベントへの参加などを呼びかけているという。
軍警による政治的な行動や、最高裁や議会への攻撃が相次いでいることに知事たちが危機感を感じていることは、24日に開催され、全国から25人の知事が参加した緊急会議の議題となった。
この会議は、ボルソナロ大統領が最高裁判事の罷免を求めるなど、民主主義の土台を揺るがすような状態が起き、三権の関係者の間での緊張感も高まっていることを懸念してひらかれたもの。知事たちはそこで、9月7日が来る前にボルソナロ大統領と知事たちが会合を持つことや、大統領と三権の長たちが会合を開くよう要請することを確認しあった。
連邦直轄区知事選に出馬した経験もある陸軍のパウロ・シャーガス大将は、現在の警察や軍人の行動に対して「おとなしくしている狼はほえている犬よりも悪い」「虚勢を張ろうとしているだけだと思う」とした上で、「実際に彼らが(最高裁や議会の閉鎖という主張を)行動に移すとは思えない」と楽観的な見方を行っている。
ボルソナロ大統領自身は20日、9月7日に二つの抗議集会に参加する意向を示したと報じられている。
なお、連邦政府は今年も、コロナ禍を理由に、独立記念日恒例の軍のパレードは行わないとの意向を示している。