サンパウロ州政府によると、今年ははしかの患者が激減しており、新型コロナの感染拡大で導入されたマスク着用などの防疫策が思わぬところで効用を示したと25日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
同州政府によると、今年の場合、今月10日までの間に報告されたはしかの症例は、サンベルナルド・ド・カンポ、アメリカーナ、カンピーナス、アルチノポリス、サンパウロの5市で計5人のみだったという。
症例は生後6~11カ月が2人、1~9歳が3人だった。専門家は、どちらの年齢層も3種混合の予防接種を受ける時期である事や、5人共、予防接種カレンダーの一部に欠けがあった上、基礎的疾患を持っているという。
他方、昨年同期(8月10日まで)の症例は772人で、死者も1人出ている。年間を通じた患者は883人で、州内全域で発生していた。年間で見た場合、40%にあたる354人は9歳未満で、死者もこの年齢層で発生した。
はしかの患者は2019年に爆発的に急増し、年間の患者数が1万7976人に及んだ。また、同年は18人が死亡している。
19年の場合、29歳未満の患者が全症例の80%を占めており、死者でも61%を占めた。この年齢層は3種混合の予防接種を受けていない人が多く、流行を招いたと指摘されたため、予防接種キャンペーンが行われた結果、29歳未満の人470万人が予防接種を受けた。
予防接種キャンペーンは20年も継続され、29歳未満の人200万人が接種を受けた。昨年の患者総数が883人に減少したのは予防接種効果といえる。
ただ、昨年の3種混合の接種率はパンデミックで低下して85%に終わっており、19年の91%より低下しているから、今年のはしか患者の激減は、予防接種効果に新型コロナ対策としての防疫策が重なった結果といえそうだ。
はしかもコロナ同様、ウイルス混じりの飛まつによって感染が広がる病気で、1人の患者から感染する人の数は最大で18人といわれる位、感染力が強い。
だが、今年のはしか患者が激減している事から、マスクや社会的な距離の確保、手指の消毒、公共の施設や空間での消毒徹底などの新型コロナ対策が、コロナ同様に飛まつ感染するはしかの感染拡大を抑制したと、専門家は見ている。
デルタ株の感染力はよく、はしか並みといわれるが、はしか患者激減がコロナ対策の結果だとすれば、デルタ株にも従来の防疫対策が有効である事が期待できる。