サンパウロ州政府が1日、同州内陸部のセラーナ市で6日に、60歳以上の高齢者約5千人に第3回目の補強接種を行う意向を発表したと同日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
セラーナ市は「S計画」と呼ばれる、国内初の新型コロナワクチンの実験的一斉接種が行われた市だ。市内全域を四つの地区に分け、ボランティアとして登録した18歳以上の住民約2万7千人が2月から4月にかけてコロナバックの一斉接種を受けた。
一斉接種に参加した人は皆、初回接種から28日後に2度目の接種を受けた。この結果、同市での死者は95%、入院患者は86%、発症者は80%減少した。
今回の補強接種は、時間と共に接種効果が薄らぐから、3度目の接種を行って接種効果を補強した方が良いという専門家の意見を汲んだもの。
専門家は、補強接種はデルタ株対策としても有効だと考えている。デルタ株は感染力が強く、入院患者が増える可能性が指摘されている。
コロナバックの輸入や国内生産を担当しているブタンタン研究所のジマス・コーヴァス所長は、「セラーナ市は真の意味の感染学的な研究室だ。この市なら、コロナバックの有効性やデルタ株の感染拡大の実態などが間近に観察できる」としている。
セラーナ市では集団接種の結果、新規感染者などが激減したが、それでも、8月16日には他市で仕事をしている同市在住者からデルタ株の感染者が出た。
8月26日には同市市役所が、8月4日に発症し、2日後に受けた検査で新型コロナへの感染が確認された37歳の男性が、デルタ株に感染していた事が確認されたと発表した。
この男性は軽症で、入院の必要はなく、既に回復したというが、感染経路などの詳細は報じられていない。なお、この男性と接触した可能性のある濃厚接触者は全員が検査を受けたが、全員が陰性だったという。