リオ地裁が8月31日に、幽霊職員の給与キックバック疑惑(ラシャジーニャ)により、ボルソナロ大統領次男でリオ市議のカルロス氏(共和者・RP)に関する銀行口座開示を決めた。8月31日、1日付現地紙、サイトが報じている。
リオ地裁の判断は、リオ州検察局が5月24日に出した請求に基づいたものだ。カルロス氏の他にも、関与が疑われる人物26人と七つの企業の情報公開も合わせて命じられている。
リオ州検察局によるカルロス氏のラシャジーニャ捜査は2019年7月にはじまった。カルロス氏の兄のフラヴィオ現上議を含むリオ州議の疑惑に対する捜査はそれ以前からはじまっていたが、カルロス氏を含むリオ市議対象のラシャジーニャ捜査は2年以上が過ぎたが、カルロス氏の名前が具体的に挙げられたのは今回が初めてだ。
カルロス氏は2001年以降、リオ市議を6期つとめている。リオ州検察局によると、その間、1週あたりの勤務が40時間に満たない幽霊職員と見なされる職員を数十人雇ってきているという。19年には既に、その内のふたりは勤務実態がなく、市議会を訪問した記録も、職員であることを証明する名札さえないことが判明している。
カルロス氏はリオ市議になって以降、2003年にリオ市北部のチジュッカ区のアパートを15万レアル(現在の価格なら37万レアル)で現金購入した他、2009年には株価暴落による損失の埋め合わせとして1万5500レアルを現金で一括払い、2020年の市議選時に自宅に置いてあった2万レアルの現金を選挙高裁に資産の一部として申告するなど、不審な金の動きが、金融活動管理審議会(Coaf)の調査によって確認されている。
リオ州検察局はさらに、カルロス氏の幽霊職員と目される人物は六つのグループに分けることが可能だとしている。そのひとつが、大統領の2番目の夫人だったアナ・クリスチーナ・シケイラ・ヴァレ氏の存在だ。アナ氏は2001年から、ボルソナロ氏と離婚する08年4月まで、カルロス氏の秘書室長をつとめていた。
アナ氏は現在の行動でも疑惑をもたれている。同氏は今年の6月から、カルロス氏の腹違いの弟でもあるジャイール・レナン氏と共に、ブラジリアの富裕地区ラーゴ・スルにあり、資産価値320万レアルの豪邸に住んでいる。アナ氏は8千レアルの家賃を払っているというが、それはアナ氏が現在、セリーナ・レオン下議(進歩党・PP)の職員として得ている6200レアルでは払えない額だ。
口座情報開示により、アナ氏がカルロス氏の職員として働いていた時期に多額の振込みを受けていたことなども、Coafはつかんでいる。
カルロス氏は、連邦政府内のネット部隊「憎悪部隊(ガビネッテ・ド・オジオ)」のリーダー的存在とかねてから目されていたことから、最高裁の「デジタル・ミリシア(ネット犯罪者)」捜査での行方が注目されていたが、ラシャジーニャの方が先に動いた形になった。
一方、最高裁第2小法廷は同日、フラヴィオ上議のラシャジーニャ疑惑に関して、議員特権(フォロ・プレヴィレジアード)を適用するか否かの審理を延期した。延期はフラヴィオ氏自身が望んでいたものだ。フラヴィオ氏のラシャジーニャ疑惑に関しては先週、高等裁判所(STJ)のジョアン・オタヴィオ・デ・ノローニャ判事が捜査の差し止めを命じ、話題となった。メディアはこの判断後、ノローニャ判事の息子とフラヴィア氏が懇意であることなども報じている。