ホーム | ブラジル国内ニュース | 《サンパウロ大都市圏》水不足は13年より深刻=7水系の貯水量43・4%に低下

《サンパウロ大都市圏》水不足は13年より深刻=7水系の貯水量43・4%に低下

大幅に水位が低下した貯水池(Divulgacao/Sabesp)

 サンパウロ大都市圏に水を供給している七つの水系の貯水量が2日現在で43・4%まで低下しており、専門家が今年の水不足は2013年よりも深刻と見ていると2日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
 2013~14年は近年で最も深刻な水不足を経験したが、13年のこの時期の7水系の貯水量は57・3%で1兆リットルを超えていたのに、2日現在の貯水量の総計は8446億リットルしかないという。
 13~14年の水危機後に創設され、2018年に運用が始まった補強システムのサンロウレンソの貯水量は57・7%の512億リットルで、警戒レベルには至っていないが、同システムの供給量は全水系の中で最も少ない。
 他方、サンパウロ大都市圏最大の水がめであるカンタレイラは、13年の46・9%(4603億リットル)に対し、36・8%の3613億リットルに低下。13年は58・3%(3030億リットル)だったアルト・チエテも、44・4%の4286億リットルに減少している。
 13年は83・8%の1434億リットルだったグアラピランガは、50・4%(843億リットル)、13年はほぼ満杯の94%(1054億リットル)だったリオ・グランデも、72・7%(815億リットル)まで低下している。

 サンパウロ総合大学環境エネルギー研究所で大学院生に環境科学を教えるペドロ・ルイス・コルテス教授は、「現在の総貯水量は13年より約20%少なく、非常に深刻な状態だ」としている。
 コルテス氏は、今後数カ月間の雨量は13年の水危機当時同様、平年より少ないと予想されている事も明らかにし、2022年の水不足は14年を上回る可能性が強いとの見解を示した。
 同氏は、サンパウロ州水道公社(Sabesp)が現状と今後の見通し、可能性のある対策などを率直に伝える必要があるとし、今後の雨量の予想が的中した場合は、14年の水危機の時と同じように、節水した人にはボーナス、使用量が増えた人には課徴金といった方策を採る必要が生じるだろうとも語った。
 だが、Sabespはまだ、現在の貯水量は想定していた範囲内で、年内の雨量も雨の季節が始まるまで充分耐えうる程度は降る見込みだからとして、水の供給が止まる可能性はないとの見解を明らかにした。
 同社によると現在の状況は昨年と同程度で、8月31日現在の貯水量(43・4%)は、水危機で騒ぐ事もなかった2018年の8月31日の44・1%と同レベルだと強調した。
 同社は、安定した水の供給を確保するためにインフラ改善を行ってきたとし、「これまでも必要な対策は実施しており、状況にも注視してきた」との声明を出したが、その一方で、「良識を持った水の使用を」とも呼びかけている。