ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》独立記念日デモ 大統領が最高裁を再び威嚇=抗議行動参加者は予想下回る=「国家審議会」開催を提唱も=政財界での罷免要求高まる

《ブラジル》独立記念日デモ 大統領が最高裁を再び威嚇=抗議行動参加者は予想下回る=「国家審議会」開催を提唱も=政財界での罷免要求高まる

ボルソナロ支持派で埋まったパウリスタ大通りの様子(Clauber Cleber Caetano/PR)

 独立記念日の7日、全国でボルソナロ大統領支持派による最高裁への抗議行動が行われ、大統領自身も演説で最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事に対する批判を繰り返し、国家審議会の招集を呼びかけるなど、強権的な介入を仄めかす威嚇発言を行った。だが、抗議集会に参加した人は予想をかなり下回り、むしろ大統領罷免を求めるなどの反発する声が強まっているなどと、8日付現地紙やサイトが報じている。
 前日の6日夜、ボルソナロ大統領が突如として「インターネット法」に関して「虚報拡散者を罰しない」「SNS企業に人種や性などの差別発言を削除させない」などの暫定令(MP)を出したことと、抗議団体が警察の警備をかいくぐりブラジリアの三権広場に侵入したことなどで緊張感が走った。
 この日の抗議活動は事前に軍人や警察官が参加を呼びかけており、全国からバスをチャーターして参加者を集めていた。だが当日、三権広場に集まった人は15万人ほどで、軍警の予想のわずか5%にとどまり、同広場を埋め尽くすには至らなかった。
 午前中、独立記念日のイベントの後に支持者の前に現れた大統領は、副大統領や閣僚たちと共に街宣カーに上り、集まった群衆を前に演説を行った。
 大統領は、「最高裁は最高裁であり続ける条件を失った。憲法の枠外で行動する者は四面楚歌だ」と語り、「そういう人物には出て行ってもらうつもりだ」と続けた。この時は名前こそ出さなかったが、これらの言葉で自身の支持者を「デジタル・ミリシア(ネット犯罪者)捜査」で逮捕したモラエス判事を批判し、彼の罷免を求める意向を示した。
 大統領はさらに、「明日(8日)、現政権の閣僚や両院議長、最高裁長官と共に国家審議会を開く予定だ」と話した。この審議会は大統領の諮問機関とも言うべき性質のもので、この会議で非常事態宣言(エスタード・デ・シッチオ)など、緊急事態だと認定して大統領が強力な執政権を行使できるようにする可能性を話し合うことを匂わせた。

 だが、この国家審議会のメンバーには最高裁長官は含まれていない。副大統領、上下院議長、上下院の与党、野党リーダー、民間人6人の出席が求められている上、官報で事前に開催を公布することが定められている。独立記念日のイベントにも欠席していた両院議長や最高裁長官はもちろん、副大統領も審議会開催は寝耳に水だった。両院議長のほかにも、欠席を明言している政党リーダーがおり、大統領の思惑通り開催できるかや、大統領の意思が通るかは疑問視されている。
 この日は全国で抗議行動が行われたが、ボルソナロ大統領は午後、その中でもっとも規模の大きなサンパウロ市パウリスタ大通りまで赴いた。
 だが、ここでも集まった人たちは12万5千人と、当初、軍警が予想した300万人のわずか6%の数字にとどまった。
 ボルソナロ氏はここでの演説では具体的にモラエス判事の名を挙げ、「奴の命令には従わない」と抵抗を示し、さらに「死か逮捕か栄光だ。私は捕まらない」と宣言した。
 これらの抗議行動では、軍人や警察が参加することで懸念されていた暴力沙汰は起こらなかった。
 だが、この日の行動で、ボルソナロ氏に対する政界の風当たりは一層強いものとなった。ジョアン・ドリア・サンパウロ州知事はこの日、はじめて「大統領罷免を支持する」と宣言したほか、「下院での罷免審議は避けられないものとなった」(マルセロ・ラモス下院副議長)、「最高裁に従わないとの発言を実行に移せば罷免に値する」(ジルベルト・カサビ・社会民主党党首)などの発言が相次いでいる。
 民主社会党(PSDB)が党役員会を招集したほか、ランドルフ・ロドリゲス上議が最高裁に対して大統領を告発し、しかるべき行動をとるよう求めた。さらに、トラック業界のリーダーらも大統領の行為で損害を受けたとして最高裁に訴えたり、企業家らが議会も確固たる態度をとるよう求めたりと、政財界が強い反発を示している。最高裁のフックス長官も8日、大統領の言動に対する最高裁側の見解を明らかにした。

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