91年間で最悪の少雨と干ばつで苦しむブラジルだが、南部のパラナ州では、州都のクリチバ市とその周辺の計14市ではもう1年以上、給水制限が行われていると9日付アジェンシア・ブラジルなどが報じた。
クリチバ大都市圏14市での給水制限は、36時間給水したら36時間断水という、かなり厳しいものだ。
パラナ連邦大学のジョアネス・アイレス教授は、給水制限により、洗濯や入浴なども含む日常生活にも不便さを感じる事を認める一方、サンパウロ市までの車での旅で見た、火災の多さなどにも言及した。
干ばつが酷くなると、投げタバコなどのちょっとした事で火災が発生する上、風に煽られた木の枝がこすり合わせられて自然発火するケースなども増える。
少雨・干ばつは市街地での給水制限だけでなく、農業生産にも甚大な影響を及ぼす。
パラナ州西部のカスカヴェル市農業生産者組合会長のパウロ・オルソ氏によると、昨年は大豆の生産が25%減り、今年は第2期のトウモロコシの収量が約70%減少したという。
同市では、牛乳や牛肉の生産などでも干ばつの影響が出た。オルソ氏によると、干ばつによる被害額は、同市だけで6億レアルに上るという。
給水制限はクリチバ大都市圏だけではなく、イバイチ、ジャンダイア・ド・スル、ジャルジン・アレグレ、サントアントニオ・ド・スドエステ、プランシッタの各市でも、輪番給水が行われている。
サントアントニオ・ダ・プランチナ、クアチグアー、シケイラ・カンポス、カルロポリス、ジャカレジーニョ、ゴイオエレなどの13市も、給水制限が行われる可能性が高まっている。
パラナ州政府は8月初旬、州全体が水危機にある事を再確認し、緊急事態宣言を90日間延長している。
なお、少雨による水不足はサンパウロ州などでも深刻化しており、9日現在で、フランカ、バウルーなど、16市130万人が、輪番供給などの給水制限下に置かれているという。フランカ市での給水制限は2~17日で、3日給水したら1日断水となっている。
サルト市では、少雨でチエテ川の水量が減り、水中の酸素不足で大量の魚が死ぬ事態が発生。2トン以上の魚を回収したという。
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