ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》大統領発言で2千億レの損失=社会保障案や改革案の審議は?

《ブラジル》大統領発言で2千億レの損失=社会保障案や改革案の審議は?

蜜月関係継続に黄信号が点っているボルソナロ大統領とゲデス経済相(Antonio Cruz/Agência Brasil)

 【既報関連】独立記念日にボルソナロ大統領が行った最高裁や最高裁判事に対する批判などを受け、8日の株式市場指数は3・78%減の11万3413ポイントとなったが、これにより、上場企業は1953億レアルの損失を被ったと同日付現地サイトなどが報じた。
 6日の取引終了時のサンパウロ株式市場は、公開株式の総額が5兆2570億レアルだったが、8日は5兆610億レアルで終わった。損失額が特に大きかったのは、ペトロブラス196億レアル、Ambev154億レアル、ブラデスコ122億レアル、Vale101億レアルなどだ。
 これは、投資家達が反民主主義的な抗議行動や最高裁判事達に対する口撃に対して、否定的な評価を下した結果だ。アナリスト達は、大統領の発言はブラジル経済の先行き不透明感をさらに高めたと評価している。

 これは、大統領が経済政策推進などを無視して政治的な面に注力した結果、税制改革や生活扶助(ボルサ・ファミリア)などの重要政策の審議に不可欠な議会との交渉力などの政権掌握力を失ったと判断されたためだ。
 7日の大統領発言による経済への影響は、8日の為替が2・93%のドル高で終わった事にも表れた。この数値は、昨年の6月24日以来の大幅なドル高レアル安が起きた事を示している。
 国内外の投資家がブラジルの現状を懸念し、投資を差し控えている事は、今年の投資額が伸び悩んでいる事でも明らかだ。国際財政研究所のロビン・ブルックス氏は8月末、「ブラジル人は自分の国に対して信じ難い程否定的だ。ブラジル人が最後に資金を持ち帰ったのは19年12月で、その後はコロナ禍もあり、国外に金を持ち出している」としている。

★2021年9月9日《ブラジル》期待外れの投資比率の伸び=GDPのV字回復には程遠く=政治や水の危機が悪影響
★2021年9月9日《ブラジル》独立記念日翌日にドル高進行、株価3・78%下落=支持者が最高裁や保健省侵入企て