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《ブラジル》新規感染の63%がデルタ株に増大=今後数週間で拡大の中心か=懸念される次の波とワクチン不足

新型コロナのワクチン接種(Ministerio da Saude)

 コロナ・オミックス・ネットワーク(Rede Corona-ômica)が9日、ブラジルの新型コロナ感染者の63%はデルタ株感染だった事が判明と発表したと同日付現地サイトが報じた。過去15日間にGisaidと呼ばれるデータ解析のための国際的なプラットフォームに寄せられた情報から分かったもの。
 それによると、ブラジル国内のデルタ株感染者はアクレ州とロライマ州を除いた25の連邦自治体で確認済み。8月31日現在の20連邦自治体より増えている。また、先の2州でも同株感染確認中のサンプルがあるという。
 「オミックス」(又はオーミクス)は患者の細胞内にどんな遺伝子が現れ、どんなタンパク質が働いているかなどの情報を指す。これらの情報を使って予防や診断、治療、予後の質向上を目指す医科学研究を「オミックス医療」と呼ぶ。同ネットワークは科学技術省と繋がりがあり、全国の研究者が参加している。
 9日の発表によると、新規感染者の63%はデルタ株感染で、37%はマナウス株(ガンマ株)だった。コロンビア起源のミュー株(Mu)とペルー起源のラムダ株(Lambda)への感染者も少数だが出ている。
 専門家達は、ブラジルでのデルタ株感染が緩やかなのは、同株に先立ってガンマ株の感染拡大が起きていたためとしている。現時点ではリオ州以外では急速な感染拡大を見ていないが、他の型を凌ぐ勢いで広がっているのは確かで、今後数週間でデルタ株が感染の中心となると見ている。

 15日間の新規感染者中の同株感染者はリオ州85%、サンパウロ州77%、パライバ州76%、サンタカタリーナ州70%、ミナス州42%だった。リオ州では50%を超えた後の感染者増が顕著だったとし、各州での次の波を警戒する推移観察の必要も説いた。
 同ネットワークは、同株感染の拡大が穏やかな事と入院者急増が起きていない理由に予防接種の進展も挙げている。そういう意味で、12~17歳への接種と2度目の接種の加速、抗体が少ない人や減少し始めた人への補強接種推進も必要だ。サンパウロ州では、臓器移植後で免疫抑制薬を使っている人への4度目の接種も検討し始めている。
 同株の感染中心地のリオ市では、実験的一斉接種で12歳以上の大半が接種完了のパケター島など、6地区の感染リスクが中程度に低下。他の27地区は警戒レベルのままだ。10日には8月のデルタ株感染率は96%だったが、入院者は25%減と発表された。
 他方、オズワルド・クルス財団(Fiocruz)が生産するアストラゼネカ社のワクチンは、有効成分(IFA)の輸入遅れで供給量が不足。サンパウロ州などで同ワクチンによる2度目の接種を中止する会場が出ている。

★2021年9月4日《ブラジル》デルタ株感染者が1週間で86%増=ミナスでは4日間で70%増=サンパウロ市の患者の7割は同株感染
★2021年9月1日《リオ州》12市の病床占有率9割超=死者減だが感染力の強いデルタ株拡大で
★2021年8月28日《ブラジル》ワクチン接種進展で死者感染者減=でもデルタ株感染拡大止まらず=接種終えても注意継続を