ボルソナロ大統領が中道勢力「セントロン」から最高裁判事の指名をめぐり、圧力を受け始めており、大統領はセントロンと福音派の板挟みになっている。11日付現地紙が報じている。
ボルソナロ大統領は7月、定年退職したマルコ・アウレーリオ・メロ判事の後任として、福音派牧師でもあるアンドレ・メンドンサ氏を指名した。
だが、この指名は人事承認を行う上院内で不評で、口頭試問(サバチーナ)を担当する憲政委員会のダヴィ・アルコルンブレ委員長が、3カ月近く経過してもサバチーナの日程さえ決めない異例の事態となっている。10日、大統領はアルコルンブレ氏のこの行為に対してしびれを切らし、支持者たちの前で「指名をするのは私なのに」と不満を漏らしている。
一方で、連邦政府内のセントロン派からは、メンドンサ氏承認の可能性がないと見て、別の候補を大統領に進言する動きが起きている。セントロン内で支持を集めているのは、経済防衛行政審議会(Cade)議長をつとめるアレッシャンドレ・コルデイロ・デ・マセド氏だ。
コルデイロ氏は既に、シロ・ノゲイロ官房長官(進歩党・PP)、フラヴィア・アルーダ大統領府秘書室長官(自由党・PL)、ファビオ・ファリア通信相(社会民主党・PSD)といったセントロン系閣僚の支持を得ている。コルデイロ氏は2015年に、PPの指名でCade入りしている。
だが、セントロンのこの動きに福音派が強い拒絶反応を起こしている。大統領支持派で福音派の大物牧師シラス・マラファイア氏や、マルコ・フェリシアーノ下議、ソーステネス・カヴァルカンチ下議は、「たとえメンドンサ氏が承認されなくても、福音派判事の座は譲れない」とし、大統領に対し、「(筋金入りの)福音派判事を選ぶ」との約束を遂行することを求めている。
メンドンサ氏の件は福音派との決裂につながりかねない問題にもなっている。ボルソナロ氏には現在、所属政党選びという問題もあり、PP、ブラジル労働党(PTB)という二つのセントロン政党と交渉を行っている段階だ。この件が、最高裁判事選びにも影響しそうだ。同氏は現在、無所属のため、来年の大統領選に出馬するために早急に所属政党を選ばなくてはならなくなっている。