14日、最高裁と上院がボルソナロ大統領が6日に出した「インターネット法」暫定令(MP)に関して否定的な判断を行い、無効になった。この暫定令は、フェイクニュースや差別発言への対処を緩くする措置を施そうとしていた。その考え方を弁護するため、大統領はこの日、「フェイクニュースは我々の生活の一部」と発言した。14、15日付現地紙、サイトが報じている。
インターネット法暫定令は、6日夜に大統領が突然に発行したもの。「フェイクニュースの拡散者を罰しないこと」「人種差別、性差別と見なされる発言をツイッターやフェイスブックなどの企業が削除しないこと」などを定めたものだった。これは翌7日に、自身が旗振り役となった反最高裁のデモを煽る行為として受け止められている。同令は発行と同時に批判が強く、無効になる可能性を早くから指摘されていた。
その指摘は的中し、最高裁のローザ・ウェベル判事は14日、このMPの差し止めを命じた。ローザ判事のこの対応は、同令の違憲性を訴えたブラジル社会党(PSB)の訴えに応えたものだ。
ローザ判事はこの判断の根拠として、「アウグスト・アラス長官が同MPに関する意見書で、同MPは違憲だとして、無効にしたがっていた」ことや「司法や立法の部門を無視して作成されたもの」であることをあげた。
この差し止めは暫定的なものであり、ローザ判事はすでにルイス・フクス長官に対し、この件に関しての全体審理を求めていた。
この日は上院でも、ロドリゴ・パシェコ議長が、このMPの審議を行わず、差戻しを行うことを宣言した。暫定令は120日以内に連邦議会の承認を得ないとならないため、これは実質上の廃案を意味する。パシェコ議長は7日の反民主主義の抗議行動の直後、8~10日は上院での委員会や本会議での審議をすべて中止する判断も下していた。
パシェコ議長は差し戻しの根拠として、「フェイクニュースに関する法案は2020年に上院ですでに審議され承認されたもので、現在、下院で審議待ちである」ことをあげ、そのときの意向に沿わない判断を行っている大統領の判断を疑問視している。
また、上院内の法務担当者たちも、同MPの違憲性を指摘し、上院議長に差し戻しを進言していた。
パシェコ議長は8月にも、大統領が自ら提出した、「デジタル・ミリシア(ネット犯罪者)捜査」を管轄している最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事に対する罷免請求を却下している。7日のデモもモラエス判事に対する攻撃が主な目的だった。
上院でのMP差し戻し決定は、パシェコ議長がプラナウト宮で行われた通信省主催の「マレシャル・ロンドン賞」の授賞式に参加する直前に行ったものだった。
ボルソナロ大統領はこの式典のスピーチで、「フェイクニュースは我々の生活の一部だ。恋人に嘘をつかない人などいるのか?」「私たちは言葉で過ちをおかす。それは法律で罰するべきものではない」と語った。
大統領はこれまでも、コロナウイルスに関する情報で、SNSの運営会社からたびたび、発言の削除処分を受けてきた。また、「これまでの選挙では投票方式(電子投票)が原因の不正があった」と主張し、選挙高裁と対立関係にある。