サンパウロ市が14日、85歳以上の人への新型コロナの補強接種(3度目か1度でよいワクチン接種への2度目の接種)はファイザー社のワクチンで行う事を決めたと同日付伯字サイトが報じた。補強接種の対象は2回目(ヤンセン社接種者なら1回目)の接種後6カ月以上経っている人だから、現在の対象者は中国製のコロナバックの接種完了者だ。
サンパウロ市の判断は、補強接種には会場にあるワクチン使用という州政府の方針とは異なる。先日持たれた拡大ABC地区の会議では、補強接種で使うワクチンに関しては州の方針に従う事を決めた。保健省は補強接種にはファイザー社製を使い、無理な時はアストラゼネカ(AZ)社製としている。
州では6日からは90歳以上、13日からは85~89歳への補強接種を行っているが、会場で使えるワクチンを使う方針は保健省やオズワルド・クルス財団(Fiocruz)の専門家らから批判を浴びている。
それは、80歳以上だとコロナバックによってできた抗体消失や感染抑制効果の低下が顕著との報告例があるからだ。専門家は、コロナバックによる予防接種を行っていたペルーなどで、接種完了者の感染例が増えている事などを懸念し、他のワクチンでの補強接種を勧めている。
また、コロナバックは不活性化ウイルスを使ったワクチンだから副反応は起きづらいが、メッセンジャーRNAを使うファイザー社製など、違う手法のワクチンと組み合わせる事で感染抑制効果が高まるとの声もある。
ブラジルでは、コロナバックの接種完了者に各種ワクチンを接種し、補強接種の効果を分析する研究実施が認められたが、結果が出る前に補強接種実施が決まり、州政府関係者がコロナバック除外と苦言を呈していた。
一部の専門家はコロナバックによる補強接種で感染抑制力が強まったとの報告がある事を認めつつ、80歳以上だと感染抑制力が50%以下になるとの研究報告もあり、別ワクチンで補強する方が安全だとしている。
コロナバックの感染や重症化抑制効果は、サンパウロ州セラーナ市での集団接種後の調査や、アマゾナス州マナウス市で同ワクチンの接種を受けた5千人余りの追跡調査でも証明されているが、補強接種に関する調査結果はまだ報告例がない。
サンパウロ市では、新たに配布される34万4千回分のファイザー社製ワクチンで、AZ社製ワクチンの不足分を補うための2度目の接種と高齢者への補強接種、青少年向けの初回接種の全てを賄えると見て、限定使用を決めたとしている。
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★2021年9月11日《ブラジル》新規感染の63%がデルタ株に増大=今後数週間で拡大の中心か=懸念される次の波とワクチン不足
★2021年8月26日《ブラジル》保健省が3度目接種を承認=コロナバックの人に補強で=70歳以上に9月15日から