ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》保健省が12~17歳の接種中止勧告=7日デモのあと死者と感染者数が上昇の中

《ブラジル》保健省が12~17歳の接種中止勧告=7日デモのあと死者と感染者数が上昇の中

ナタル市でも16日に青少年への接種開始と報じる15日付G1サイトの記事の一部

 保健省が15日夜、予防接種計画を後退させ、基礎疾患のない12~17歳の青少年への新型コロナのワクチン接種の中止勧告を出したと16日付現地サイトが報じた。
 保健省は2日、15日から12~17歳の青少年への予防接種実施と発表していた。また、「ワクチンは充分にあり、不足は起きない」との宣言まで行った直後の突如の中止勧告で、1日も早く接種を受けようと列をなしていた青少年達が落胆する事態も起きた。
 保健省は、12~17歳の青少年への予防接種中止を勧告した理由を以下のように述べている。世界保健機関(WHO)は(基礎疾患の有無に関係なく)子供や青少年への接種を勧めていない。青少年は感染しても軽症か無症状。同年齢層向けに承認されたワクチンが1種類しかない。基礎疾患がない青少年に予防接種を行う事の利点が明らかになっていない。7日間平均の感染者や死者が減少傾向にある。また、青少年で重度の副反応の報告があり、観察中のため、接種を停止するようにとも記載している。
 この通達は15日夜9時半頃出たため、多くの自治体は16日朝、対応に迫られた。リオ・グランデ・ド・ノルテ州ナタル市は16日朝、基礎疾患のない青少年への接種中止を決めたが、その時間帯には多くの会場で列ができており、知らせを聞いた青少年が「ずっと心待ちしていたのに」などと呟いたと報じられた。

 また、バイア州サルバドール市も16日朝、基礎疾患や障害のある人や少年院収容などの行動の自由がない人以外への接種中止を決めた。連邦直轄区もその後、中止の意向を表明した。
 同日付G1サイトによると、リオ・グランデ・ド・ノルテ州保健局は既に受け取っているワクチンだけでも接種するかなどを各市保健局と話し合う意向だという。
 サンパウロ市やリオ市のように同年齢層への接種を前倒し中の州都11市では接種を継続する意向で、リオ市では16日も22歳以上の未接種者と14歳女子、12歳以上の妊婦や出産直後の人、障害者への初回接種、92歳以上の人への補強接種を実施と報じられた。サンパウロ州も州の予防接種計画を維持する意向を表明した。
 なお、保健省は60日間の新型コロナ感染者が60%、死者も58%減少した事を青少年への接種中止勧告の理由としたが、7日に起きた独立記念日のデモや連休中の遠出などの影響か、15日の新規感染者の7日間平均は前日を上回る1万5229人に増加。死者の平均も10日の454人以降、連日増えている上に、14~15日は518人と597人と、ペースが加速している。
 なお、保健省は15日に接種間隔短縮(12週間を8週間に)はファイザー社製ワクチンのみとする事も確認した。