14日、ラヴァ・ジャット作戦の捜査対象となっていた大手建築会社、OASの元社長レオ・ピニェイロ氏が、自身が褒賞付証言(以下デラソン)で語ったものの一部を「嘘をついていた」と直筆の手紙を書いて否定していたことがわかったと報道されている。
直接この件でルーラ氏が実刑判決を受けたわけではない。だが、ピニェイロ氏といえば、ルーラ氏が実刑判決を受けた「サンパウロ州海岸部グアルジャーの高級三層住宅の改築を介した贈収賄工作」のデラソンを行った人物として知られているだけに、案件が違うとは言え、「虚偽のデラソンをした」といえば、やはり気になるものだ。
だが、労働者党(PT)やルーラ氏の古くからの支持者の言い分をSNSで見てみると、これは「サプライズ感ゼロ」(驚きなし)であり、「最初からそう思っていた」という人がかなり多い。「ピニェイロ氏のデラソンが疑わしいから、ルーラ氏に対しての実刑判決をおかしいと思っていた」という意見も多く見た。
ルーラ氏の支持者たちが「この時点でおかしいと思った」と共通して指摘するものが存在する。それは2016年6月1日付のフォーリャ紙の記事で、タイトルは「ルーラ氏に罪はないとしたために、OAS社長のデラソンが無効にされた」というものだ。
ルーラ氏はこの年の3月にサンパウロ州検察局からグアルジャーの件で事情聴取を受けていたが、当時は、ペトロブラスの件と結びつけては考えられていなかった。この「ルーラ氏に不利なことが聞き出せなかった」ことが理由でデラソンが中止になったことで、PT関係者は「最初からルーラ氏をラヴァ・ジャットの黒幕に仕立て上げようとしている」と感づいたようだ。
当時のパラナ州検察局のラヴァ・ジャット主任、デルタン・ダラグノル氏が記者会見で、パワーポイントを使って「ルーラ黒幕説」を発表して一躍有名になったのが、その3カ月後のことだった。
PTのグレイシ・ホフマン党首は14日のツイートで、ピニェイロ氏のこれまでの過程を図解で説明を行ったが、これが興味深かった。それによると、ピニェイロ氏は15年8月にセルジオ・モロ判事から16年4カ月の実刑判決を受けた。そして、16年7月のデラソン無効後の4カ月後、ピニェイロ氏の実刑は26年に伸ばされた。
しかし、17年4月にピニィエロ氏がルーラ氏を贈収賄工作に関与したとするデラソンが証拠提出のないまま締結され、同年9月にモロ判事がルーラ氏に9年の実刑判決を与えると、同判事はピニェイロ氏の実刑年数を2年6カ月に短縮するよう願い出ている。
だが19年6月に起こったモロ氏やデルタン氏の携帯電話のハッキングで、「ルーラ氏に罪を負わせるまでピニェイロ氏のデラソンは認めない」と取れるメッセージが見つかっていた。
今月14日は、先述のパワーポイントから5周年だったが、その前日にルーラ氏の19件の訴訟が無効になっている。(陽)